第5話 生活の中のロボット


「今日は掃除が早いのね」


 ママ子は少し落ち着いた声で言った。外から少し大きめのモーター音がする。でもそれはここが静かだからで、普通に話していれば気にならないくらいのものだ。

道路の掃除用ロボット。小さな子供くらいの大きさで、底がブラシになっている。内蔵されたアームもあるらしいけれど、そのアームが伸びたのをほとんど見たことはない。

「そんなに火山灰が多くないのに、不思議だね」

「あ! そうか、きっと点検の日だ、だから早めに仕事をしているんだわ。この前まるちゃんに言ったの「横の塗装がはげてるよ」って。そうしたら「ありがとう、点検が三日後だから大丈夫」って話していたから」

マルちゃんとはこの道担当の掃除用ロボットのあだ名だ。頭がつるんとして丸い。

「そう、ママ子優しい、特にロボットには」

「なによ、それ」

ちょっと怒った感じを見せたが、僕たちはそれよりも扉の方を見た。何人かの声がしたからだ。


「ただいまー! あれ? 開帰っちゃったの? 俺たちに会わずに」

「最初の頃すっごい喧嘩してたから、根に持ってるとか」

「今親友だ」

「親友に会わずに帰るのは、もはやそうじゃないから」


 帰ってきたのは三人組。皆高校生で、二人は三年生、一人は二年生だ。

「あ! 緑が落ち着いた顔してるって事は・・・報酬ゲット出来たって事だ」

「正解です! 先輩方」

「うわーちょっと嫌み、俺たちは三人ともスルーされた感じなのに」


偽の塾は僕たちにとって、気の合う仲間と過ごせる最高の場所なのだ。


「飲み物何が良いですか? 」

「優しい、ママ子ちゃん、ありがとう」

僕は椅子に座って書類を作成して、先輩達は椅子に座ったり、机にちょっと乗ったりしながら

「ああ・・・足が疲れた・・・営業ってこんな感じなのかな」

大人のように話し始めた。


「もしかして俺たちの顔の情報が入っているとか・・・」

「それはないだろう、あったとしても、子供の顔はロボットの整備の時に消去される。大体掃除、家庭用ロボットだから」

「じゃあ・・・マルちゃんと同じでメインテナンスとか」

「あ! そうだった!!! 緑のターゲットは来週で、今週は俺たちのだった!!! 誰か気がつけよ!! 」

「ああ・・・先週までは覚えていたんだけど・・・」

「三人寄れば文殊、にはなれないかな」

皆大袈裟にがっくりしたので、僕とママ子はクスリと笑った。


この三人は一組で行動することが多い。しかし開さんと僕は、彼らトリオを高く評価している。




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