1F 三つ編みの先客2
柵に寄りかかって私と謎の少女は並んで座った。
「何で死のうと思ったの」
「何でって……」
「理由なしにこんなとこ来ないでしょ」
「……」
「話すまで死なさないからね」
「死なさないって、何様なの」
「何様でもないよわたしは。ただこの場所が好きなだけの女」
そう言うと、少女は私の腕を痛いくらいに締め付けてきた。
「なっ、何なの!?」
「話聞いて、納得出来たら、わたしがここから落としてあげる。そしたら結果は同じでしょ?」
「それは、そうかもだけど」
話の流れには納得できないが、少女は腕を放してくれそうにない。
私は
""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
一週間前の日曜日。
幼稚園の頃からの
未だなれない
……異変に気付くのに時間はかからなかった。
彼は私の格好に、何の反応も示してくれなかった。
それは、まぁ、いつも通りといえばいつも通りではあるのだが、それでも、「これ新しく買ったんだ」とでも言えば、「いいじゃん」とか「似合ってる似合ってる」とか言ってくれてたのに、その日はただ、「あぁ」と軽く
公園に向かう途中も、普段は
公園についてからも彼はどこか
そして、帰り道。彼は、突然立ち止まって、言った。
「もう、別れよう」
初めて聞いた、無機質な声だった。そう言う顔にも何の感情も浮かんでいない。
ただの、報告のような言葉だった。
「え、どうして……?」
首をかしげると同時に、場違いな笑みが浮かんだ。
「私、なにか、駄目なことしちゃった?」
彼は下を見たまま首を横に振った。
「最近、あんまり会えなかったから?」
再び彼は頭を振る。
「じゃあ、どうして……」
「お前は、何も悪くないんだ。何も」
「はぁ?」
「全部、俺が悪いんだ」
「何言ってるの……」
「泣かないでくれよ……」
瞳の奥が熱くなっていく。私は顔を覆ってしゃがみ込む。けれど、彼はその場から一歩も動かず、ただ
「ちゃんと、説明してよ……! 何か気に入らないことがあるなら、私、直すからさ……」
くぐもった声で、必死に私は
しかし、彼にその主張は届かなかった。
「ほんとに、ごめん」
そう呟き、彼は
その背に向かって彼の名前を
水気が
しかし、彼は戻ってくるどころか、振り返ることも、立ち止まることさえもせず、ついに消えた。
ひどく
彼とは、付き合い始めて五十六か月、出会ってからは十五年にもなる。そんな、特別な
追い打ちのような雨が降り始める。動くことのできない私に、
とっくに慣れたはずなのに。無理に開けたピアス穴が、今になって痛むような錯覚にさえ襲われる。
「帰ろ……」
誰も聞いてはくれない呟きをもらして、私はやおら立ち上がった。
その後の記憶は
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