アマイロという言葉

を信じて進んでいけばきっと大丈夫だよ』


 彼女はそう言っていた。三度みたび口にするのはアマイロという聞き慣れないフレーズ。そもそもアマイロとはなんだ。亜麻色あまいろではないのか。てんでわからない。


 アマとイロ、それはもしかすると色なのかもしれない。だとすればどんな色なのだろう。僕は言葉の響きを頼りに色を想像してみた。それは二枚貝の内側にある真珠層しんじゅそうの輝き、虹色ではないだろうか。


 アマイロとは一体なんなのか。それは詳しく彼女に聞いてみなければわからない。いや、もしかしたら彼女自身も知らないのかもしれない。


 あの時、彼女は言ったんだ。と。その瞳はどこか遠くを見つめていた。声音にはある種の好奇心が含まれていた。


 僕も彼女も知らない。そんな光景がどこかに広がっているのだろう。

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