4−2
一方、広い園内を徘徊するロベリアが連れて来た他の怪人から逃げ回る人達に、ジニアがよく通る声で、皆に呼ぶように叫んだ。
「みんなーー、危険だから下がってねー、お父さんとお母さんから、離れちゃ駄目よーーー!」
園内の通路で突然リズムに合わせて踊り出すジニア。
「悪い怪人は」
ボコ!
「私が」
バキ!
「やっつけるからー!」
ドカアァ!!
ジニアは跳ねたりくるくる回ったりしてまるでダンスを踊るように軽快に、怪人達を手のクリップ型の武器で撃っていく。
その近くで棒のように立ちつつもやって来る怪人をぎこちないダンスのように小刻みに手足を使い倒すディメンションがいた。
それを小さな子供がじっと見ると、指差しながらジニアに言った。
「ねぇえ、どうしてあそこから動かないのぉ?」
「
「ふーーーーーーん」
そう言いつつディメンションはたまに戦いながらも、ジニアが一撃でとどめを刺せれるように怪人のゲージを遠隔操作で下げたり、一般客から周囲の攻撃を防ぐための次元の壁を貼ったりと、暇に見えて結構忙しいのである。
ジニアは踊りながらラナンキュラスの方にやってくると唐突に言った。
「ほら、アリアもやるのよ!」
「何言ってんの、私は無理だって!」
その時、自分たちの元へ横から飛びかかる者に気づいたラナンキュラスは、ジニアをかばうように怪人の腕を払い避けた。
「あっ、アリア!」
怪人に触れたラナンキュラスの腕はダメージを受けると、目の前の怪人は言った。
「俺の名は
『あいつ、何で私の名前知ってんのよ!』
ラナンキュラスは奇抜な緑色の体に毒々しいトゲが腕や足に沿って付いている、イラガと名乗った怪人が以前自分を見ていた者だと気づくと決意したように見据えた。
「サリィと水池君は手出ししないで。私がやるから」
銃を向けイラガに狙いを定めると、イラガはすぐさま己の手からトゲを飛ばしてくる。ラナンキュラスはその攻撃を咄嗟にかわしながら思った。
『銃を撃たせないつもりね。それに彼に触れると刺でダメージを受けるから、うかつに蹴りや拳も出せない』
「あれ、このまま逃げまとう気なの?弱っちいねー」
「そう?じゃ、これはどう?」
ラナンキュラスは太腿のガンホルダーに一旦銃を押し込んでマガジンを変えた。再び手に取った銃口を怪人イラガには向けず、攻撃を避けながら地面に走らせると紅い一筋の線が引かれた。
イラガが向かってきた時、ラナンキュラスは銃口を一気に引き上げた。地面に書かれた紅い線はリボン状の硬度なテープになりイラガの足を引っ掛けた。
「てめぇ何すんだ!」
一瞬足元が狂ったイラガにラナンキュラスはひらひら舞うテープを音を立てて振るった。赤痕を作りながら痛めつけ、イラガの周りを一周しながら縛りつけると、手足が出せなくなった状態で弾倉マガジンを元に戻し銃を撃った。
イラガは一瞬で身を縛り付けていたリボンを自身の刺で斬り、ラナンキュラスの銃から逃れると「覚えとけ」と言い残し姿を消した。
ラナンキュラスの元へと心配しながら寄って来るジニアは声をかけた。
「何、あれ。ヤバイんじゃない?」
スラッシュとレイは砂煙の中から立ち上がり再びやって来るオーグメントを見ながら言った。
「愁、あいつは何としても倒さなけれなならない」
「あいつ、さっき自分の手に受けた炎には拒絶反応をしました。だから、体以外を狙えばダメージを受けます」
「よし、一緒に行くぞ!」
スラッシュとレイは同時に飛び立つと高速の速さでオーグメントに向かってパンチを撃ち付けた!
「うーーーん効かぬわぁーーー!!」
スラッシュとレイの攻撃は再度蒟蒻ゼリーのような体に吸収されると、速攻でオーグメントから離れた。二人に向けて突進して来た数倍返しの威力を持つオーグメントに、スラッシュとレイは彼の進行方向から逸れるように頭上に高く翔んだ。
「あっ、眩しぃーー!!」
二人の方へ進路を変えようとしたオーグメントが目を細めながら見上げたが、スラッシュとレイが頭上目掛けて急降下する姿を目にすると全身光に照らされながらも自己の体で受けようとした!
しかし、同時にスラッシュとレイが放った炎と光の蹴りでオーグメントは頭に走った衝撃と共に全身を射抜き、壊れていった。
元の姿に戻った、オーグメントだった者の足元で照屋時生が呟いた。
「やはりあんな女に少しでも期待した俺が愚かだった」
時生は元怪人共々背を向けると、愁達が見た時は彼らの姿はいなくなっていた。
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