6−3


「アリア、迎えに来たよ」


斗川の声だ!その声にアリアは嬉しそうに後ろを向いた。だが、振り向いた瞬間に彼女は目を見開いた。優しい顔をした斗川の隣には佐幸登、その反対側に居たのはデイ市支部の柿谷 沙利サリィだったから。


「‥‥‥‥!!」


アリアは何故かこの状況に愕然すると、そんな彼女にサリィは小悪魔のように微笑んだ。


「私、どうしてもアリアの事が心配で、斗川さんに頼んでついて来たの」


挿絵(近況ノートより)


https://kakuyomu.jp/users/mira_3300/news/16816700427294423827


その隣で佐幸がバツの悪い顔で感情を押し殺すように言った。


「アリア、今までやって来た事が台無しになるぞ。それでいいのか?」


その意味とは、彼らはアリアにそれ相応の事をしなければ元の場所には戻れない事を望んでいた。

愁達と戦えば自分はもとの職場に戻れる‥アリアは愁の顔を睨んだ。


「君が戻りたいのなら僕は戦うよ」


愁とアリアは決意したが、その顔をサリィは見逃さなかった。


「何なの?今から二人で茶番劇でも始めるつもり?」


そんなアリアを見るサリィの目は笑っていない。


「アリア、そっちと仲いいんでしょ。だったら裏切り者よ。戻れないわ」


そう言うとサリィはイクアージョンシステムを取り出し、アリアと《イコール》した。

橙色のスーツ姿に手の甲に花をあしらったイクアージョン ジニアへと変華したサリィはラナンキュラスと対峙した。


「斗川さん、彼女と戦わせてください。彼女をお仕置きします」


「しょうがない。君の実力を見せてもらおう」


ジニアの頼みに斗川が承諾すると、イクアージョン ジニアは掌に持った黄色いスケルトンのクリップの型をした武器を向けた。ジニアはラナンキュラスに突っ切り手の甲と銃をかち合わせると、突如掌の武器は牙のように剥き出し、喰らいつくようにラナンキュラスの腕を執拗に攻撃していく。

ラナンキュラスは持っていた銃をついに落とした。


ジニアは周りに聞こえないようにラナンキュラスに言った。


「今まで自分が一番斗川さんの為に働いてたと思ってたんでしょ?それはお門違いよ」


「解ってるわ。貴方もそうだったでしょ‥‥‥!!」


「それに、一度開いた場所ポジションを譲る訳にはいかないのよ。

‥‥私、デビュー記念にアリアを潰すわ!!」


ジニアが叫んだと共にラナンキュラスはとっさに攻撃をかわして円錐蹴りでジニアの腕を討った。怯んだ隙を見て落ちた銃を拾い上げたラナンキュラスは素早い動きで近づくと、ジニアの額に銃を向け叫ぶように言った。


「あなたが本気なら、私も本気でやるわ!」


「助‥‥けて!!」


ジニアの声と銃声が同時に響いた瞬間、二人は突風に押し流されるように突然倒れた。


気がつくと互いのゲージが僅かになっていた。二人は向こうにいる変華した斗川を見た。

それは戦いを辞めろと言う意味だった。

ジニアが無言で変華を解いて歩くと、斗川はジニアを連れながらラナンキュラスの方に目線を向けて一言言った。


「本当に残念だ」


彼らが去っていく姿を見ながら、ラナンキュラスは向こうにはもう帰る場所がないと自覚したのだった。

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