5−3


納矢とミキが救急車に運ばれ、デスウルフの連中が警察に連行された後、納矢から回収したイクアージョンシステムを手にした三条に佐幸とアリアがやって来た。


「三条さん、それを俺たちに下さい」


「これは納矢さんのものだ。彼に渡すのであれば別だが」


「私たちはそれを貴方から奪わなければなりません」


そんな三人のやりとりに愁が割って入った。


「ねえ、みんな辞めようよ。僕は君たちとは出来れば闘いたくは無いんだ」


「愁君、君は初めて会った時から変わってないね」


アリアは花のような柔らかい顔に凛とした目で愁を見た。


「君のそういうところは嫌いじゃない。だけど、私をイクアージョンに選んでくれたのは斗川さん。私は彼のチームの中で戦ってるの。私と君とは別なのよ!」


そう言われた愁は心の中で思った。それは仕事に対する忠誠心なのか?それとも‥‥


「解った。君たちが勝ったらこれを渡すよ」


「先輩!」


「愁ちゃん、とにかく勝て。方法はそれだけだ」


愁と三条、佐幸とアリアの四人は《イコール》するように変華すると、イクアージョンレイとスラッシュ、キャプチャーとラナンキュラスの二対二のバトルが始まった!




「行くぞ!!」


スラッシュとレイにキャプチャーが斧で襲ってくると後方からラナンキュラスが援護するように銃で狙ってくる。


「とりあえず、愁はキャプチャーと戦え」


そう言ったレイの周辺から光の破片がシールドとなって幾つも現れると、彼らを囲むように浮遊した。

レイとスラッシュの同時技、その光の破片の間からキャプチャーを狙うスラッシュが飛び出し、炎が光線となってキャプチャーに次々と照射した。


『まずは、彼の動きを止めないと』


ラナンキュラスはシールドの隙間からレイを狙い銃を射つと、音を立てて飛んだ銃弾はレイの体を擦り抜けた。


映像リフェクションか!」


ラナンキュラスの目の前に何人ものレイが残像となって、まるで自分を嘲笑うかのように動き回る。


ラナンキュラスは考えた。無闇にレイを狙って銃を使えば無駄になる。本体を見つけて一発で仕留める方法をしかない!

咄嗟に光の中に飛び込んだラナンキュラスは幾つものレイに一人ずつ攻撃技を繰り出した。

次々と空振りを繰り返し、その中の一人に拳が当たるとさらにキックを打ち、目の前のレイがその左腕で防御しながら光が閃こうとした。


「見つけたわ!」


レイの姿を確信したラナンキュラスは両腕で銃を構えた。


「くらえぇ!!」


ラナンキュラスは銃声と共に全身を揺さぶらせた!!!

だがいきなり彼女の視界が塞がると「きゃっ!!」という声と共に倒れ込んだ。


「あぁっ!!アリア!!」


レイに銃を撃つラナンキュラスに加勢しようとキャプチャーが偽のレイに保護ネットガンを放ったのだった。空振りのままラナンキュラスはその網で逆に身動きが取れなくなってしまい、彼女はレイに捕まってしまった。


「アリアを人質にするつもりか!」


「それは君にやる。その代わり、彼女は俺たちが貰っていく!」


その言葉にスラッシュとキャプチャーが一緒になって驚いた。レイはイクアージョンシステムをキャプチャーに放り投げるとスラッシュに言った。


「行くぞ、愁!!」



眩かった光と共にスラッシュとラナンキュラスを連れたレイは、納矢のイクアージョンシステムを手にしたキャプチャーを残し消えていった。

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