4−2

気がつくと怪人タツキはゲームの中のような世界に入り、二次元の二刀身キャラとなってラケットを手にテニスコートに立っていた。


「君たちここを舞台ステージに二人で戦ってね。負けた方が終わりだよ!」


対戦相手はイクアージョン ミチル。真ん中には同じく二次元キャラのディメンションが審判として座っている。


挿絵(近況ノートより)

https://kakuyomu.jp/users/mira_3300/news/16816700426621019032


怪人タツキ、イクアージョンミチル。二人のテニスバトルが始まった!


バスバスバスバスバスバス

「ミチル、よくもアサミを奪いやがって‥‥お前は俺たちが付き合っていたのを知ってたくせに!!」


バスバスバスバスバスバス

「アサミは悩んでいたのさ。お前と上手く行っていないって。お前はテニスの時も命令口調で、彼女は自分の主張は通せなかったと!」


バスゥ!

「黙れ!俺は彼女の事を思って、助言してただけだ!」


二人は不満を叫びながら打ち合い、その間にいるディメンションはフィフティーンラブ、サーティラブ、サーティフィフテーン、と、ゲームをどんどん進めていった。そのうちサーティフォーティー、デュース!とディメンションは叫んだ。


バスバスバスバス

「タツキ、俺が勝ったら大人しく身を引いて貰うからね!」


バスバスバスバス‥‥スパーーーン

「ミチル、そもそもお前はいつもテニスよりも女の子と喋ってばっかりだっただろ!

そんな奴に‥‥アサミをやれるかぁぁあ!!」


スパーーーン!バスバスバスバスス‥

「化け物になって俺たちを襲ってきた奴に言われたく無いね。俺たちのサークルを壊しやがって‥‥


スパパパパパパパパパーーーン!!!

お前は、皆んなに謝れぇぇええ!!!」


ミチルはスマッシュを連打し二点差を上げると、怪人タツキの負けが決まった。



タツキは人間の姿に戻ると廃人のような面持ちでか細く言った。


「みんな、ごめんよ。‥‥‥‥

アサミ‥‥‥‥、ミチル。二人とも、幸せになってくれ」


そんなタツキを見て同情心が湧いたのか、ミツが思わずタツキに駆け寄った。


「タツキ‥‥これから一緒にご飯食べに行かない?ねっ、皆んなで行こうよ」


つられてタツも、タツキに微笑んだ。


「そうだね。これからもまた皆で仲良くやろう!」


アサミとミツルは安堵したように使い捨てイクアージョンを解除した。愁もこの優しい結末に笑顔になり、三条の方を向いた。


「愁、見てみろ」


そう言った三条の顔は笑っておらず、愁に向こうを見るように促した。


運動場の向こうからこの光景を見ている人影を見てはっとした。向こうから自分たちを見ていたのはアクセレカンパニーデイ支部の斗川湊と佐幸登。それに、以前愁が街で会った女性、七星愛里逢だった。


愁がその事に驚くまもなく、突然反対側から叫声が上がった。


「アサミ‥‥私、ミチルと付き合ってたのよ。彼に近づいた挙句に彼を奪って‥‥‥

あんただけは許せないわ!!」


ナオコは手にした刃物を手にアサミを睨むと一直線に突っ走った。

アサミの胸に刃物が突き立てられる寸前、七星アリアはナオコと《イコール》するようにイクアージョンシステムを放った。



「君は」


「私はイクアージョン ラナンキュラス。デイ市支部のイクアージョンよ」


イクアージョン ラナンキュラスへと変華した七星アリアは白のスーツに銃口が淡い桃色の口紅のような銃を持つ女イクアージョンだった。

それを手に怪人になったナオコに銃口を向けると、必殺の一撃を撃った。



銃声がした後怪人ナオコは一撃で倒れ、気絶したまま元の姿に戻った。


「嘘、ナオコが撃たれた‥‥助けてー!!」


サークルの仲間たちは叫びながら倒れたナオコを連れて避難して行く。

彼らが居なくなると斗川は三条に言った。


「あの中で同じ仲間を快く思っていなかったものが他にも隠れていたとはな。これは君たちの落ち度だ。やはりイクアージョン システムは私たちが持っている方が有効的だ」


「それで今度は俺たちと戦うつもりか」


「私はただ職場の向上化を目指したいのだ。仲間を叩き落として能力のある社員のみが残れば仕事の効率は高くなるだろ?だから君たちを蹴落としてイクアージョン システムを手にしたい」


愁は思った。この人たちが何を言っているのか全然理解出来ない‥要は、僕たちの持っているイクアージョンが欲しいが為に戦いたいと言っているのだろうか?

苦い顔をした愁はラナンキュラスに変華しているアリアに言った。


「君は、この為に僕に近づいたの?」


「君は大好きな友達よ。でもそれとこれは別」


そう言うとラナンキュラスはディメンションに銃口を向けた。


「水池君、君の指が少しでもでも動いたら、撃つわ」


「チッ、甫の動きを封じられたか。しかし彼女もこれで動けないが」


そう言いながら三条はふと思った。今戦いが始まるとするのなら斗川は出るのか?

一か八か、言ってみよう。


「斗川。俺はどっちでも構わないが、ここに居る者達が本気で一度に戦えば全て損失するだろう。少しは温存するか?どうする」

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