静かなところにいる
あきや
暗闇世界の歩き方
第1話 死後の無?
「暗闇と沈黙の中にも、無限の美しさを見いだすことができるのです。」
ヘレン・ケラー
______________________________________________________
静かなところにいる。
何も見えないし、何も聞こえない。
ただ、私の中に記憶がある。
鮮やかに光り輝く街があって、たくさんの人がいた。
私は雑音をかき消すためにイヤホンで音楽を聞き、
飲食店を見ては満たされない食欲を感じ、
時計を確認してはもう時間がないと焦っていた。
そしてそんな毎日を繰り返しているうちに、いつの間にか死んでいた。
特に感動的な話もなく、自分の人生に満足することもなく、
ただ「これで終わってしまう」という焦りだけがあった。
今思うとなんだか世界中から急かされていて、ずっと焦っていたように思う。
ここには何もない。
きっとここが死後の世界なんだろう。
死んだら天国に行くとか地獄に落ちるとか、輪廻転生するとか聞いていたけど、
どうやら【無】になるらしい。
この【無】はいつまで続くのか、想像すると怖い。
だけど、何も感じず、何にも急かされることなく、
ただこうして何もしなければいいというのは、
案外心地良い。
そんなことを思っているうちに、だんだんと眠くなってきた……
あれ?
なんで私は眠いの?
この眠気はどこから来たの?
わからないけど、眠くなったら眠れるみたい。
それなら永遠の無というものも……
怖くは……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます