静かなところにいる

あきや

暗闇世界の歩き方

第1話 死後の無?

「暗闇と沈黙の中にも、無限の美しさを見いだすことができるのです。」

ヘレン・ケラー


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静かなところにいる。

何も見えないし、何も聞こえない。


ただ、私の中に記憶がある。

鮮やかに光り輝く街があって、たくさんの人がいた。

私は雑音をかき消すためにイヤホンで音楽を聞き、

飲食店を見ては満たされない食欲を感じ、

時計を確認してはもう時間がないと焦っていた。

そしてそんな毎日を繰り返しているうちに、いつの間にか死んでいた。

特に感動的な話もなく、自分の人生に満足することもなく、

ただ「これで終わってしまう」という焦りだけがあった。

今思うとなんだか世界中から急かされていて、ずっと焦っていたように思う。


ここには何もない。

きっとここが死後の世界なんだろう。

死んだら天国に行くとか地獄に落ちるとか、輪廻転生するとか聞いていたけど、

どうやら【無】になるらしい。


この【無】はいつまで続くのか、想像すると怖い。


だけど、何も感じず、何にも急かされることなく、

ただこうして何もしなければいいというのは、

案外心地良い。

そんなことを思っているうちに、だんだんと眠くなってきた……


あれ?

なんで私は眠いの?

この眠気はどこから来たの?


わからないけど、眠くなったら眠れるみたい。

それなら永遠の無というものも……

怖くは……

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