第9話

 目が覚めた。

 横にはモローさんがまだ寝ていて、起こさないように布団から出た。

 服を着て、お湯を沸かした。

 

 

 するとモローさんがモゾモゾと起きて来たので、コーヒーを淹れて出す。

 ちびちびとコーヒーを飲みながらだんだん覚醒してきたのか話し出す。

 

 

「今度もまた手伝ってくれ」



「はい。僕は帰ります」



 次の手伝いの約束をして僕は自分の部屋へと戻った。

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「すいません、ちょっとお聞きしたい事がありまして」



 俺が話し出せば相手はペラペラと話だした。

 そしてその話から分かった事は何もしらないという事だった。

 よくもまあそんなに話すものだと少しばかり関心してしまったが、ただこの

 アパートで話せたのはそいつくらいのもので、後の奴らは知らないと言われた

 だけだった。

 

 

 結局何の収穫もなかった。

 強姦事件の犯人の暮らしについて何か分かるかと思ったが無駄足だったようだ。

 もっと何かしらあれば面白い記事に出来たというのに、どうするか考える。

 まあ、創作するに決まっているのだが。

 

 

 どんな風に持って行けば食いつくか考えないといけないのだ。

 車の中で足を伸ばして考えていると新しいアパートの住人が帰って来たので

 俺は走って行く。

 

 

「すいませ~ん。ちょっとお話いいですか? 」



 俺は声をかけた相手の顔を見て既視感を覚える。

 

 

「何ですか? 」



「いや~、ちょっとね。そこに住んでいた人の事を聞きたいんだが、何か知らない

 かな? 」

 

 

「知りません」



 そういうと彼は部屋へと入って行った。

 そしてその表札を見て俺は思い出す。

 

 

「嗚呼。あの一家惨殺の生き残りか! 」



 





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