第5話
「クルーさんってすごっく、かっこいいですね? 」
「そうかな? よく言われるよ」
「なにそれ、やだ~」
「ココアちゃんもすっごく可愛いよ? 」
「いやいや、私なんか全然ですぅ」
そんな糞みたいな会話をしながら酒を煽がまったく酔える気がしなかった。
もしかして水でも飲まされているのかとも思ったが、ココアちゃんの目がとろん
としてきている所を見るとそうでもないようだ。
「ねえ、そろそろ出よっか」
俺がそう言えば、俺の腕に巻き付いてくる女。ご自慢の胸を押し当ててきたので
準備は万端のようだった。
店を出てタクシーを拾い、マンションの前で降りる。
「ここに住んでるの? 」
「そうだよ? 」
「すごい大きいね」
俺は女をつれてエレベーターに乗り込み、そしてキスをした。
深く深く、キスをしている間にエレベーターのドアが開く。
女がやたらくっついてきて鍵が開けづらいがどうにか開けて中に入ると、俺は
土足のまま女を抱き上げてリビングへ連れて行った。
「やだ~、もう。そんなに急がなくてもいいのに」
女が何か言っているが気にせずリビングに入れば、そこには数十人の男どもが
待っていた。
「ええ! 何何何なに? 」
女が驚いているようなので教えてあげる。
「ココアちゃんの願いが叶う場所だよ」
俺がそう言い終わらないうちに男どもに連れていかれる女。まったく堪え性の
ない奴らだと思う。
「おい、クルー。今回の分」
そう言われて封筒を受け取るとすぐに中身を数える。
「ああ、そうだ。今日、新しい人入ってますよね? 」
「ああ、キミヒロ所やつだったかな? ほら、あそこにいる短髪の奴。
うわ、もうギンギンじゃん」
俺はその男を確認する。確かに目が血走っているのがよく分かるが順番が回って
来るまではそうとうありそうだ。我慢出来ないだろうと思った。
「お願い、もう止めて! 」
女はそう言うが俺は知っている。この女がネット上に自分の裸の写真を上げて
いるのを、よがっている動画を上げているのを、つながりたがっていたのを。
だから俺は女の願望をこうして叶えてやっているというのに……
どうしてそんなに抵抗しようとするのか?
ここに連れて来た女はみんなそうやって夢が叶う前で諦めてしまう。
まったく女という奴はなんて強欲なのだろう。
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