第3話

 結局俺はついて行く事となり、連れてこられた場所にはオブジェみたいなものが

 あった。

 

 

「ねえ、これなんだけど変じゃない? 」



 彼女が聞いて来るが俺には芸術なんてものがまったく理解できないので、何と

 言っていいかもよく分からない。

 


「変じゃないよ、すごくクールだ。いいじゃん! 」



 キザマは相変わらず軽い感じで言う。

 

 

「そお? でもここら辺が気に入らないのよね」



 オブジェをペシぺシと叩きながら彼女は言う。

 それにしても、よくこんな物を作ったなと思ってしまう。

 

 

「おい、これは何人使っているんだ? 」



「二人よ。結構大変だったのよね重たくて」



 どうやらこのオブジェは男の死体を二つ使って作ったようだ。

 

 

「だからあんた達に手伝って欲しいのよ。ほら、そっちの足をさ、もっとこっち側

 に曲げて欲しいのよね」

 

 

「固った! これは無理なんじゃね?」



 キザマは言われた通りにしようとするが出来ない。当然と言えば当然の結果なの

 だから仕方がないだろう。今から形を変えるなんて無理だ。

 

 

「そっか、男の人なら出来るかと思ったんだけど……まあいいわ。じゃあこれ運ぶ

 から手伝ってよ」

 

 

 当然のように言って来る女に、当然のように手伝うキザマ。

 

 

「ほら、トドマさんもそっち持って」



 そして俺を巻き込もうとしてくるこいつらは一体何なのか?

 結局、指定された場所へと運んでやる羽目になった。

 最近はこう言う奴が多いのだろうか?

 

 

 運んでいる最中に歳を聞いたら同い年だと分かり、俺がショックを受けている中

 キザマは言う。

 

 

「なんだ、敬語使わなければよかった」



 あれが敬語のつもりだとは驚きだが、もうどうでもいい。

 早く帰って眠りたかった。

 

 

 三人で同じ帰り道を歩き、着いたアパート。

 俺とキザマは二階への階段を上る中、女は一階の部屋へ消えて行く。

 表札にはヒロキと書いてあった。

 






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