第2話
「あっ」
「あっ」
俺は相手の顔を確認して、見知った人物だと分かると警戒を解く。
どうやら彼も同業者のようだった。
「どうも、お先にどうぞ」
「そうすっか。じゃあ、すいません」
そう言うとキザマが先に焼却炉へとゴミを放り込み、その後に自分も放り込んだ。
まさかこんな所で会うとは思っていなかったので、なんだか気まずい雰囲気で
あるがここでのルールは干渉しない事である。
「あの~、トドマさんはこの仕事長いんすか? 」
だからキザマがそんな事を聞いて来た時は正直驚いた。
「キザマ君。ここで名前を出すのはどうかな? 」
「ああ、すいません。俺、新人なものでして。今日も誰もいないと思っていたので
よかったら被らない曜日とか教えてもらってもいいすか? 」
何かすごく軽い感じの子だなと思いつつも、確かにそれは必要な事だと思った
ので教えておく。
「そんなものは無いよ。そう言うのは自分で嗅ぎ分けられないと苦労すると思うし
長続きしないよ」
最初にしっかり言っておかないと、後々こっちが面倒な事になりかねない。
そういうのは御免だった。
「そうっすか。なんかすいません」
どうやらまったく伝わっていないようだ。最近の子ってこんな感じなのか?
糞面倒臭え~と思っていたら声をかけられた。
「あの~すいません。余ってる死体ってありません? 」
急に声をかけて来た女も顔見知りであったために溜息が出た。
どうなんているんだ? こんな事があっていいのか? 最悪な日だった。
「もう燃やしちゃったんで無いっすね」
「遅かったかー。じゃあちょっと手伝ってもらってもいいですか? 」
「暇なんでいいっすよ」
勝手に二人が会話を進めているので、俺は帰ろうとしたら呼び止められた。
「何処行くんっすか? 困ってる人は助けないと」
そんな善人みたいなことをキザマに言われて、一体誰が言っているんだと心から
思った。
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