第7章 大団円。茶飯乞食の人生に拍手を!。N…、愛してるよ。

エピソード29:やれやれ、大人かよ。童貞じゃないんだから……。

一週間後、夕方。

私は約束通り六本木のホテルのラウンジでデイトナに会うために、入念に自分を手入れした。

この百万人に一人のたぐいまれなる顔面を手入れした。

汚い姿を見せたくない。超美人のプライドは捨てたくない。やることはやる。

それがせめてもの救い。

しかし、ついに大人おとなか……。

久々だな、セックス。

もう細かいコツも忘れたな。

まるで囚人がシャバに出るみたいだな。

でも、開き直った爽快感がある。

でも、やはり、やれやれだ。面倒くせえ。

スキンケア、ヘアケア、ボディケア、口腔こうくうケア。

歯をしつこいぐらい磨き、舌のこけまでぎ落とした。

まるで中古車の洗浄。全部洗った。

そして、とにかく、性器を入念に洗った。

自分で自分をくさいと言っているようなものだが、でも、徹底的に磨いた。

売女ばいたでも恥はかきたくない。

最後に一張羅いっちょうらのシャネルのスーツを着た。約一年ぶりに着た。

これを着るとさすがに心もシャキッとする。

そして、その10円もしない安いマインドでアパートを出る。

そして、大通りに出てなんとタクシーを拾う。

珍しい。この乞食が。

でも、デイトナだぜ?。

無駄な汗はかきたくねえだろ?。

私はキンキンにクーラーの効いた中小企業の車で、デイトナを頂きに六本木のホテルへ向かった。

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