エピソード6:茶飯② 昼食 童貞くん、ロレックスくれたら卒業させてあげるよ

夕方、5時過ぎ、次は大学生と2時間のデート。

水族館に行った。

なんで学生はどいつもこいつもパパ活に水族館使うかねえ……。

バカの一つ覚えとはよく言ったよ。

ほんと、ワンパターン。

この水族館、何回行ったか分からない。たぶんラッコも私の顔、覚えてるよ。

ほんと大学生ってれなくバカだよなあ……。

この坊やは、初めて女とデートをすることになり、その予行練習を私でしたいとのこと。

アホか……。える……。

とにかく無経験で私の美貌にひるんでいるから、無駄に気取ったカフェに連れ込んで女を慣らしてやった。

日ごろ溜まりに溜まった、不甲斐ない大学生くんたちに対する不平不満を、説教を兼ねてぶちかましてやった。もちろん、メシ食いながらだけどね。

フレンチトーストを頬張ほおばりながら私はしかる。

天下の早稲田の坊やは高卒の私の話を真剣に聞く。

あまりに真剣に聞くので、こっちも真面目に教えてやる。

「初めてで上手にやろうなどと生意気なことを考えるな」

「だれでも初めは下手」

「学生の未熟者みじゅくものを許容できない女なんかと付き合うな」

などなど……。

ガミガミ言う私に、早稲田くんは「ありがとうございます!、勉強になります!」と頭を深々と下げる。

まさかメシくいながら説教たれて金もらえるとはね。

やれやれだよ……。

学生くんはなけなしの小遣い1万円をくれた。

タクシー代はキツそうだったのでこっちから辞退した。

やはり、大人に発展したくなかったので、ここは素早く退いた。

若いのは腕力で押し倒すから怖い。

最後に当然デイトナのことを聞く。「名前だけは聞いたことある」と苦笑して答える。

だろうな。さっさと別れる。

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