第23話 ものとんvsチンまん ラウンド1
『1時間ほど返信がないため、再度ご確認のご連絡をさせていただきます。ものとん様の下着を追加発送していただく提案は、ご承知していただけたのでしょうか? それと
ベッドでふて寝していたあたしは、新たに入ったコメントを見て、スマホをへし折りたくなった。放置していても状況が改善する見込みはなさそうだ。返信せずにいたら、悪くなる一方。
重い腰を動かして、ベッドの端に座る。
『使用済みや試着をおこなった下着のお取り引きは、〝ギルマ〟の利用規約によって制限されている「わいせつ物」に
『ものとん様、下着はわいせつ物ではありません。わいせつ物であれば、衣服を売っている店は、すべからく、わいせつ物を
……こいつガキかよ。
変態は死ね!
と、打ち込んだあとに、全文消す。
ぜったいこっちの反応を見て面白がっているはずだ。
喜ぶに決まっているのだから、あくまでも事務的な対応に務める。
『もし、下着以外受け付けないということであれば、現在自室に保管してある新品の下着を遅らせていただきます』
この
『新品は要らねェんだよ。お前が
チンまんの文体が
同時に、頭にカッと血がのぼっていた。
『うっせーキモデブ』
今度は
さすがにマズったと思い、すぐに、
『すみません。幼馴染に送るLINEと間違えて送ってしまいました。』
と送るが、
『客に向かってキモデブとか、お前やべェな。頭そうとうおかしいんだろ?』
……
『
『申し訳ないって思ってんなら、チンまん様、だろ? 名前と様をつけろよ。十なん年も生きててそんなこともわかんねェーのかよ。おわってんな今どきのJK。そんなんで社会に出てやってけると思ってんの? キティキティキティ~ちゃ~ん、キティガイちゃ~ん? どこの底辺高校に通ってるんですかァ~?』
……全力で
ここは事を
『チンまん様、この度は誠に申し訳ありませんでした。心より謝罪いたします』
『ようやく俺のニックネームを打ち込んだな。ものとんちゃんさァ、わざとニックネーム打たないようにしてたんだろ? 予測変換に、チンまん、って出てきちゃうのが嫌だったのかなァ? 前はちゃんとニックネームに様をつけてくれたのに』
……前は?
『ちょっと待って、』と、あたしは素になって打ち込んでいた。『前は、ってなに? チンまんなんていうふざけたニックネーム入力してあげたの、今がはじめてなんだけど』
『いいね、いいね! やっとJKと話してる感じになってきたね!』
『いいから、前は、ってなに?』
『前に使ってたアカウントだよ。お前、ブロックしやがっただろ? ったく、別アカつくる手間かけさせやがって。俺が誰かわかるか? ものとんちゃ~ん♪』
低レベルに
学食で、窓際のひとりがけテーブル席に座り、単行本を読む、コウモリリングを右手人差し指に
最近は、視界に入らなくなっていて、あたしに話しかけられるのをようやくあきらめてくれたと思っていた。
『……GOTHくんなの?』
ブロックしていたことは、気づいていたんだ……。
ファンがアンチに変わるような心理変化があったのだろうか。
物静かな人は、仮想空間では
『GOTHくん? お前、俺を誰と
『……え? 違うの?』
すこし間を置いたあとに、あっけなく正解が表示された。
『ものとん様、はじめまして✞ 即購入可だったので購入させていただきました👻 短い間ですが、お取り引き終了までよろしくお願いします♥』
「そっちかよ……」
と、あたしは溜め息をつく。
『このコピペで俺の正体がわかったろ? お前の輝かしい初取引の相手、
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