第260話 入れ替わる光と影 15
〈
そんな光源氏の事件とは別に、別の大騒動が持ち上がる。
なんと日頃から闊達な
しかしながら、さすがに
「じゃあ、
「えっ!?」
「姉君はよいのに、わたしは駄目って言われるんです……」
「…………」
姫君に泣きつかれた帝は、葵の上が密かに武術を嗜んでいることに、大層驚いていらっしゃったが、右大臣のやかたや、光源氏の事件があっては、
「
「そうでしょう? そうでしょう?」
帝は、嬉しそうな姫君を抱き上げ、苦笑しながら、慌てて追いかけてきた関白たちに、条件つきで許可をするようにと口添えをする。彼は母君と瓜ふたつの
「姫君にも、
何事かと、コッソリ関白たちについてきていた
するとまったく想像とは違い、まるで舞のように美しい、葵の上の体捌きを見て、自分には無理だとは思いながら、
なにせ、実践の目的しかない検非違使の別当たちとは違い、葵の上の技は根本的に『
なお、帝の言葉のあおりを受けて、“側づかえの女官”の紫苑は、その日から
「いたいっ! いたたたっ……!」
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない!」
「わたし、女房でよかった――!」
正式に女子大学寮で、武芸を修めた女武官たちが、後宮に配置されるまで、紫苑のように年若い
とんだ、とばっちりである。
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