第237話 修羅場 10
〈 葵の上が助け出される少し前の右大臣のやかたの庭 〉
実のところ、葵の上が消える寸前、
それというのも公卿たちの警護に当たる武官や
にもかかわらず、
はじめ
「こんなことなら、初めから飾り太刀を、本物の太刀にしておけばよかった! あっ!」
「どうかなさいましたか?」
「こちらへついてまいれ!」
彼はその部屋のひとつに配下の武官を連れて走り込むと、収集する度に長々と自慢話を聞かされてうんざりしていた、美々しく飾られている、数多い一級品の
左少将と右少将は、大慌てで武官たちに、次々と一級品の
「こんな凄い一品を、わたしが使ってもいいんですかね?」
「この家の婿(
「この
「いまから役に立つ! いいから急げ!」
例の“
そうして、「これはかの有名な、ナニガシの名刀を特別に、伊勢神宮で祈祷してもらい……」そんなウンチクを右大臣が
すべてが終わってから目を覚ました右大臣は、残念な事態になっているご自慢の刀剣コレクション、荒れ放題の自慢の庭、壊れた池の上にかかる朱塗りの橋、遠方から運ばせた京で一番と言われた、粉々に砕けた岩に、大粒の涙をこぼしながら袖で顔を覆っていた。
それでも事が事だけに、文句は言えず黙っていたが、のちに開かれた朝議で、「いつ何時なにが起こるか分からぬ。高位といえど、すべての武官は
閑話休題。
方陣から鬼共を出さぬようにしつつ、
“六”の周囲には光の柱が、天高くまで伸びたかと思うと、己だけが使役できる“十二神将”が次々に現れた。
「これで終わりだ。無礼を通り越したお前は二度と、どの世界にも戻れぬようにしてやろう」
「もはや……わたしの力もこれまでか……」
そう吐き捨てた“六”を、なんとか相手にしていた
彼は、
「あの女を目覚めさせたければ、あの女のすべてを第二皇子に捧げることだ……」
ごぼりと言う血の泡と一緒に、黒い血だまりができた地面に横たわっている
ちなみに“
受けた攻撃には倍以上返す。彼女はそんな女であった。
そんな訳で、小さな葵の上は、とんでもない力を出した『
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