第199話 収まらぬ火の粉 6
『北山の
右大臣は、
しかし、古すぎる話ゆえに、いまは消えてしまっている話ではあるが、元はといえばこの北山の
ところが彼は、『薬師如来の具現』と呼ばれる
復活した関白が、とかく自分たち官僧の特権や地位を侵害して来ることに、彼は大いに憤慨をしていたが、その緻密な大義名分に表立って反論もできずに、苛立たしい限りであった。しかし、この大火をきっかけに、これ幸いと、すべて『御仏を疎かにしている摂関家や貴族たちの所業の呼んだ結果』と位置づけようと
そして
そんな
この坊主は帝に、なにかよからぬことを吹き込み……いや、この坊主は、あらぬことですら、『帝がおっしゃった』そう言いかねないし、なにか怪しげな祈祷をするやもしれぬ。昨日から内裏で儀式を執り行っている真っ最中であろう、朝廷の祭祀を司る神祇官の長や、官僧の長である
床の上に目をやると、そこには
本来、
「いつまでもうろたえておらず、さっさと関白にご連絡をして、
「
右大臣の愚痴でしかない独り言から、大体の話を把握した
「いくら
『その手があった!!』
そんな顔をしてすぐにまた、右大臣は困った顔をする。
「しかし……いまから使者を出して、きていただくにしても時間がかかりましょう。それまでに帝に会わせろと言われては、あやつは帝に、お出入り自由を認められている身、止めることができ……」
止めることができない……そう言おうとした右大臣は、女房が拾い上げて、
「わたくしに挨拶にこさせればよいでしょう!! わたくしは帝の、最高位の
「!!!!」
彼女は右大臣に堂々と言い切ると、テキパキと女房たちに北山の
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