第152話 追走曲 19
〈 葵の君が転生した絵物語の世界 〉
「姫君!!」
なにかを背負った姫君が、必死で自分に手を伸ばしているが、その手は遠ざかるばかり。
穴は急激に小さくなってゆき、まるで世界が自分たちを押し潰そうとするような、そんな重さが彼の上にものしかかり、藤を倒そうとしていた“六”が、慌てて“
「“
「はっ!!」
庭で待機していた
第二皇子を避けるように
“
別当は、
「一体どうしたら……うん?」
彼は抱えていた『光る君/切り札』を思い出した。
「この無礼者!!」
「第一皇子を守るためです!」
別当は大猿に向かって、第二皇子の脇を抱えて大きく押し出すと、白い大猿は
「光る君に怪我をさせぬようにいたせ」
「なるべく努力いたします」
「これは摩訶不思議な……一体、どういうことでしょうなぁ?」
心配そうにそう言う第一皇子と、光る君を盾にする別当の横にきた
そんな周囲の騒ぎは目に入っていない
長さが足らず穂先(刃の部分)を握っていたために、両手には深い傷が入りボタボタと、穂先に彫られている龍の細工に血が滴るが、不思議と痛みは感じなかった。
「きゃっ!」
姫君を引きあげると同時に穴が塞がる。
なぜなら、光る君に怯んでいた白い大猿が、葵の君の姿を見た途端、低いうなり声を上げて、ひょうと飛び上がり、彼女の前に立ちはだかったのだ。
“六”は穴を維持することで、膨大な力を既に使い切り、
そんな状況の中、大猿と葵の君の間に立ち塞がったのは、なんと第一皇子であった。皇子は葵の君をうしろ手に庇い、預かっていた
「
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