第7話 とある公卿と陰陽師 1
〈 場所は変わって、
***
「誰か、
礼儀正しく平伏した
手にした
ぶっちゃけると、あまりにも多い皇子は国庫を
尊い血筋ながらも、恵まれぬ境遇におちいる元皇子も多くいる中、口にできぬほどの苦労や、紆余曲折はあったが、今現在の彼は、おのれの境遇にしては、破格の
幼い頃から大胆な人柄で、優雅を尊ぶこの時代には珍しく、和歌や書の才能もさることながら、もっぱら狩りを好み、幼き頃より特に求められぬ、ともすれば貴族には
まだ先帝の時代、後宮で火災が発生した折には、誰もが引き留めようとする中で、池の水にざぶりとつかり、
その結果、彼の首筋から右の腕には、
同じ先帝の子とはいえ、母の身分の違いもあり、
彼はそう思っていた。
親王のみが就くことが許された
理不尽だとは思うけれど、努力も才覚も、血と機会がなければ、ほぼ、どうしようもない時代であった。
前例のなきことで、着任後、しばらくは眉をひそめられていたが、おのれの才覚や努力もともなって、いまでは、おおむね好意的に認められている。
先の時代のためにも、親王でない自分が、この地位に就いたという前例が、いつか役に立ってくれればと、個人的には思いながら、彼は日々の公務に励んでいた。
「お見舞いありがとう存じます……
「
とはいえ、彼にできることはあまりなく、多忙な公務ゆえに、都を離れ
寺には自分の名でかなりの寄進をし、自宅にて精進潔斎して、姫君の回復を祈願する
ちなみに彼自身は
長く病に伏せる姫君を心配するあまり、もともと
そして昨日届いたのが、この
手紙には、目前に迫った
年末の行事の間を縫った慌ただしさで、常ならば
しかし疑問がない訳でもない。手紙の内容には
“
壱番からはじまって、六番までの選ばれた
小さな
『コノ世ノモノデハ無イ存在ト世界ヘノ
彼らはその特殊性ゆえに、さまざまな特権を持っていた。
***
〈 後書き 〉
葵ちゃん再登場までもう少し……。
※後書きを話の中に出てくる物の、ふわっとした補足的紹介欄にたまにできたらと思っています。(専門的に参考になるかと言われると、かなり長い平安時代の中からピックアップしていたり、オリジナル設定も差し入れておりますので、あくまでお話の中の設定程度でお願いします。)
文中に登場した唐紙は、中国大陸からから渡来した、耐久性もあり、透かしや輝きも美しい紙で、後に京都などで模して、作られるようになりましたが、小説内では、まだ高貴な人しか手にできなかった時代です。(いまではわたしでもお店で買えるように!)
『枕草子』では中宮が、『源氏物語』でも光源氏などが使用しています。
先帝の内親王で、女三宮だった葵の上の母君が、喜ばしい手紙を自分の恩人である中務卿に出すために使用するのは、自然で似合っているなと思い、取り上げてみました。
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