第1549話 【エピローグオブ乙女たちの結婚式希望・その5】まだ「結婚式挙げようぜ」っていっていない野郎ども、集合せよ。そして猛省せよ。 ~始まる、大結婚式の準備~

 和泉さんが「結婚式しようゼ」をキメた。

 まだキメていない野郎どもが偶然にもミンスティラリアにどっちもいた。


 さあ、年貢を納めるんですよ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 同時刻。

 魔王城の隣にある逆神ドームでは。


 南雲さんから預かった人工島デルタウェアの完成図を片手にかつてのボスたちが侃侃諤諤の論争中であった。


「ふん。チュッチュチュッチュチュッチュチュッチュチュッチュ……。俺ならば上空から攻める」

「まあそうなるだろうな。船底、島の底をコーティングしてあるイドクロアは莉子の『苺光閃いちごこうせん』でも破壊できんと言われれば、必然的に突破口から除外される」


「……ズッ友・ミンガイル」

「貴様、サービス。意見が合う度に討議を中断するな。それは意見も合うだろう。我々は侵略者としてデルタウェアの攻め手を考えている」


「ふん。チュッチュチュッチュチュッチュチュッチュチュッチュチュッチュ」

「そして思案する度に練乳チュッチュするのもよせ。お前、最悪チュッチュしてから建設的な事を言うのならばまだしも。チュッチュしただけならわざわざ尺を取るな。だから貴様は嫌われるのだ」



「ふん。百万人に嫌われようとも俺にはズッ友がいれば構わん」

「ええい! もう私が独りで考えるから貴様は黙っていろ! 気色悪い!!」


 ニィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ。



 それからバニングさんは練乳チュッチュ・サービスさんと一緒にデルタウェアを何度も脳内で攻めたがなかなか成果はあがらなかった。

 そこにやって来たのはどら猫である。


「うにゃー。やっと脱出できたぞなー!! あ! いたにゃー!! バニングさん、バニングさん!!」

「む。クララか。すまんが今は干し肉の手持ちがない。もうしばらく、そうだな。2時間もすれば家に帰る。そうすればアリナ様のシチューを振る舞おう」


 クララパイセンが首を横にプルプルと振る。

 続けて言った。


「のんのんののんだにゃー!! おいバニングさん、おいおいバニングさん! 結婚式するかにゃ? しないかにゃ? どっちにゃーんだい!!」

「えっ!?」


「すーる!! パワーだにゃー!!」

「えっ!?」


 パイセンは語った。

 「アリナさんが結婚式したいけど結婚式したいって言い出せなくてちょっと曇ってるぞな。このままだと美味しいお酒が飲めんにゃー。だから結婚式挙げてくださいにゃー」と。


「えっ!? なっ!? えっ!?」

「ふん。コングラチュレーション。……コングラチュッチュチュッチュチュッチュチュッチュチュッチュ」


「いや待て! しかし! 私はアトミルカを率いた男だぞ!! 今も多くの同志がカルケルやウォーロストに収監されている……!! それを私たちだけこれ以上の幸せに手を伸ばそうというのは強欲が過ぎるというものだろう!!」



「ふん。バニング。お前は何を言っている。ここに残った時点で、お前には敗れ去って行った者たち。代わりに罪を背負った者たち。そして奪って来た多くのもの。それらに代わり幸せになる義務があると何故分からん。お前ほどの男が、どうして。過去の罪は消えん。だが、過去の罪にかこつけて未来の幸せを放棄するのもまた罪と知れ。お前は誰のために剣を持ち、切っ先を世界へ向けた。誰の幸せのためだ。思い出せ。バニング・ミンガイル」


 なんか急に正論の詰まった練乳チューブでしばかれたバニングさん。



 とりあえず言った。


「サービス。貴様、急にド正論を淡々と喋るのは反則だろうに。せめてチュッチュしながらにしろ。もう私の取り得る選択肢は1つになった。よし、結婚式しよう」


 実は演説だってデキるぞ、元ピースの首領。ラッキー・サービス。


 なんかいい感じにバニングさんが陥落した。

 ならばあと少し。


 あちらは上手くやれているだろうか。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 魔王城のシミリート技師ラボでは。

 山根くんがメディカルマシーンに入っていた。


 そこに駆け込んで来た南雲修一上級監察官。

 言うまでもなく山根くんの上司である。



「山根くん! 結婚式を挙げなさい!!」

「こんなパワハラってあります? 南雲さん、自分今、真っ裸なんすけど」


 「えっ。あ。えっ」と戸惑ってから「じゃあ1回服着て?」となった南雲さん。

 アンガールズさんの『ジャンガジャンガ』な雰囲気をお楽しみください。



 服を着た山根くんは言う。


「そりゃ自分だって結婚式挙げたいっすよ。元はアトミルカの1件が片付いたら挙げましょうって春香さんとも言ってたんすから」

「えっ!? 山根くん、君ぃ!? 前向きだったの!?」


「はい? そりゃそうっすよ。他人の結婚式の司会ばっかりやってて、うちはやりませんなんて春香さんがかわいそうじゃないっすか」

「ええと。山根くん? 一応、念のため、本当に失礼だけど確認させてね? それ、春香くんにはちゃんと言ってる?」



「えっ!? 言ってないっすけど!?」

「言ーえーよー! やぁぁぁまぁぁぁぁねぇぇぇぇぇぇぇ!! 言わないからああいうことになってるんだろぉぉぉぉぉぉ!!」


 アンガールズさんの『ジャンガジャンガ』な雰囲気をご堪能ください。



 それから南雲さんによる愛の説教が行われた。

 思っている事はちゃんと口に出さないとダメだということ。

 相手も分かっているだろうの「だろう運転」は独り善がりの最たるものであると。


 なんならそういうところから離婚の足音が迫って来るのだと。


「えっ!? 春香さん、そんなに落ち込んでるんすか!?」

「むちゃくちゃ落ち込んでるよ!! 椎名くんがお酒飲むのヤメて逃げ出すくらいに重くて暗い煌気オーラを漂わせてるよ!!」


「し、知らなかったっす……。でも! ちゃんとヤる事はヤってるっすよ!?」

「山根くん、君ぃ!! 今の発言は本当によくないぞ!! 君ぃ!! 私、一緒に謝ってあげるから! ごめんなさいするよ!! はい!!」



「えっ!? なんか申し訳ございませんでした」

「本当にうちの山根くんが大変な失礼を……。いえ、違うんですよ? うちの山根くんね、本当はいい子なんですから!! 本当にすみません!! 本当に!!」


 許してあげてください。



 「話は聞かせてもらいましたよ」と言って現れたのは最強の男。

 壁にもたれかかって強者感を出すことも忘れない。


「あ。逆神くん、もういいの?」

「リャンさんが常備薬の液キャベを分けてくれました。あと、莉子には食べ過ぎちゃったって正直に言って来たので平気です」


「ほらね? 逆神くんだってデキてるでしょう? 思ったことは口に出さないと」

「莉子のぽっこりお腹ぷにったらちょっとリコられましたけど!! おかげで腹ごなしになりましたよ!! 煌気オーラで全力ガードしたので! うふふふふふふふふふふふ!!」


「ほらね? なんでも口に出せば良いってものでもないんだよ? その辺はちゃんとパートナーの特性に合わせてね、アレをナニしないと。うん。山根くん? 分かったかい?」


 男女の関係というのは繊細緻密。

 カップルの数だけ正解があると南雲さんは言う。


「それで考えたんですけど。南雲さん。僕たちが裏方に回って、結婚式やりたいカップルの皆さんに合同で式挙げてもらうのはどうですか?」

「それはいい考えだね! 正直、色々とやる事はあるけれども。私だってみんな忙しいのに結婚式の運営までしてもらったんだし! やろうか!!」


「じゃあとりあえず……式場をミンスティラリアに造りましょうか! ひいじいちゃんたち呼びつけて!!」

「それはとてもいい考えだね!! さすが逆神くん! 冴えてるなぁ!!」


 次回。

 みんなで大結婚式の準備。


 バルリテロリは敗戦国なので「やれ」と言われたら「嫌です」とは言えない。

 これが戦争。

 まったく実に無情である。


 日本本部とミンスティラリアは世界の戦争根絶を願っております。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る