第1550話 【エピローグオブ乙女たちの結婚式希望・その6】大結婚式の大準備!! ~バルリテロリは今日も激務~

 山根健斗、春香さん夫婦。

 和泉正春、佳純さん夫婦(昨日入籍済)。

 バニング・ミンガイル、アリナさん夫婦。


 この3組の結婚式を同時に行う、名付けて『でぇ結婚式』をやってやろうぜという運びになった。

 場所はミンスティラリア。

 式場も大規模なものになるため、景色も良いし面積も確保できるし終わったらどうせ取り壊すから足場とか土台とかは深く考えなくてもいいしという事で、海辺に建設されることが決定。


 安心して頂きたい。

 海辺のラブホテルは六駆くんとノアちゃんのコンビプレーによって山沿いに移転済み。

 ラブホテルを壊すなんてとんでもない。


 色々と予定が詰まっているため、今回も例に漏れず突貫工事である。

 構築スキルといえば彼ら。


「おいぃぃぃ!! なんでまたワシらが駆り出されとるんや!? 終わったやろ!? デルタウェア建造は!! もう嫌なんや!! あの形容しがたいプレッシャーに苛まれてスキル使うの!! 勘弁してくれや、ひ孫ぉ!!」


 (有)バルリテロリ建設である。


 ちなみに有限会社は現世において会社法廃止に伴い新しく設立できなくなったが、バルリテロリでは現役である。


「すみません! お忙しいのにお呼びしちゃって!」

「せやろ!! もっと謝れ!!」



「すみません! 五十五さん!!」

「気にしないで欲しい! 逆神六駆!! 困った時はお互い様かもしれん!!」

「ワシには謝りもせんのかい!!」


 五十五くんが駐在武官としてミンスティラリアに出張中である。



「キサンタさー。いい加減に弁えよ? あたしらひどいことしたんだよ? なのに結婚式に携わらせてもらえるとかラッキーじゃん。ちょー優しいじゃん。六駆さんたちさー。ねー。すごくない?」

「六宇ちゃん!? くそっ!! 逆神本家に毒され始めとる!! うちの唯一残った可愛いひ孫が!! これがお前らのやり方か! ひ孫ぉ!!」


 陛下が御怒りの仲、テレホマンはもう跪いていた。


「して、ひ孫様。工期はどのように?」

「3日で頑張りましょう!!」


「ははっ」

「ははっ、じゃないんやテレホマン!! 設計図見たらむっちゃデカいやんけ!! こんなもん3日で創れってむちゃくちゃ足元みられとるでな!?」


 六駆くんがねじり鉢巻きを巻いた。

 今回は六駆くんも本気。

 大学も3日休んで大結婚式場の建築、その棟梁を担当する所存。


「えー。まずはご紹介しますね。棟梁は僕なんですけど、僕こういうのに疎いので」

「だったら先頭に立っちゃダメやろ!? 白衣連れて来んかい!! あいつ既婚者やろ!!」


「ひいじいちゃん、うるさいな。ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん」

「待て。話を聞かせてくれ。ひ孫。ワシが悪かった」


 学習能力にも最近は定評のある喜三太陛下。

 ふぅぅぅんは死神の笛の音ということをご理解あさばされておられた。


「では改めて紹介します。大棟梁の仁香さんです!!」

「あ。はい。どうもご無沙汰しております。バルリテロリの皆さん。この度、空いてる女子って仁香さんしかいないんですと逆神くんに頼まれましたので、大棟梁を担当させて頂きます。よろしくお願いいたします」


 大棟梁とは棟梁の上位職である。

 仁香さんは構築スキル使いではないが、代わりに女子力が高い。

 結婚に興味はないが25歳の乙女ともなれば結婚式の経験値も上がってきている時分であり、その造詣は深い。


 あとは南雲さんの「監察官室の仕事はお休みしていいからね。1週間くらい」という言葉が決定打。

 宿六の相手してる時間よりも現場に出て働く方が1000倍楽しい。

 あと最近は水戸くんと仁香すわぁん信奉者たちA~Z、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸たちが仲良くなり始めており、仁香すわぁん大好き連合軍『ブルー水戸ハーツ』が結成されたので監察官室の居心地は悪化したとの事。


 仁香すわぁんは新人教育に熱心であるし、新人は可愛がる。

 ただしそこに水戸くんやどろくのエッセンスが数滴垂らされただけで「……はあ」とため息が自然に出て来たらしい。


 ならば友人たちの結婚式の会場設営現場で仕事する方が10000倍楽しい。


「じゃあ、逆神くん。まずは説明を。私がするより逆神くんの言葉の方が喜三太さんには響くと思うから」

「そんなことないで!? 仁香ちゃん!! 仁香ちゃんの事もワシ、好きやで!? ひ孫の5億倍は好きやでな!?」


「それでは僕が説明します!」

「なんでや……」


 描いた夢はかなわない事の方が多くございますな、陛下。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 六駆くんがあらかじめ作って来た詳細な設計図をふぅぅぅんと気合1つで上空に投影した。

 これは探索員の基礎スキル『マッピング』の応用である。

 描写されていないだけで探索員のスキルだってちゃんと習得している男、逆神六駆。

 煌気オーラ出力に無駄はあるが、意外と使い勝手は悪くないらしい。


「このように、会場を3区画に分けます。そして真ん中にお客を入れて、順番に1区画ずつ回転させていきます。これは自由にお客さんが行き来できたら人気のないカップルがかわいそうなので。平等に同じ時間を主演として過ごしてもらえるための措置です」

「ははっ。ひ孫様の御心遣い……このテレホマン、感服いたしましてございます!!」


 喜三太陛下は「こいつすぐ感服しよるで……」と、なんだかズッ友が自分の知らないところで別の友達とお泊り会していたと知った時みたいな感情に襲われておられた。



「それでまずはですね。山根さんパビリオンなんですが」

「おいぃぃ!! ちょっと待て待て、ちょっと待て!! パビリオンってなんや!?」


 陛下。現世では今、万博やってるので。



「山根さんパビリオンは和装がご希望ということなので、そのように舞台も設営します」

「……現世では結婚式場のこと、パビリオンって言うんけ?」


「次にミンガイルパビリオンです」

「おっぱい男爵と髪型が被っとるヤツやな!! ダンディな! ワシほどやないけど!!」


「ミンガイルパビリオンではミンスティラリアの建造物をモチーフにした舞台を創ります」

「それ……その辺の建造物持って来たらええんと違うんか?」


「最後に和泉さんパビリオンですが。こちらは医療設備を紅白で彩ります」

「今までの中で1番意味が分からん!! なんでそんなおめでたい病院創るんや!?」


 和泉さんは年1の体調良好日が終わったので。

 大結婚式当日は確実に体調不良日。

 しかし和泉さんが倒れる度に式を中断していては和泉さんパビリオンの持ち時間だけ短くなってしまう。

 それを避けるための措置である。


 もう和泉さん夫婦はタキシード患者衣とウェディングナース服に衣装も決まっている。


「これを3日で仕上げます!! 皆さん、頑張りましょう!!」

「「はっ!!」」


 電脳ラボのラボメンたちが敬礼した。

 喜三太陛下は「最近ワシ、最後にいつ敬礼されたっけ?」と思われたという。


「締めは仁香さんお願いします!」

「あ。はい。ええと、3組とも紆余曲折あってたどり着いた晴れの日ですから。私たちは全力でお祝いしてあげましょう。あ。もしかして今、自分はどうせ結婚しないからお互い様じゃないし、なんか嫌だなって思った人います?」



 いたら起立してください。

 仁香すわぁんから御言葉を賜ります。



 にこりと微笑む仁香さん。


「私もですし、なんならですけど。嬉しいじゃないですか? 私たちが頑張ったことで大切なお友達が幸せそうにしてくれるのって。だから、前向きに頑張りませんか? 私、好きなんです。誰かのために頑張れる人って」



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 津波のような感動がバルリテロリ建設の心を1つにしたという。



「うおおおお! 仁香すわぁん! うおおおおおおお!!」

「逆神くん? 同調してくれるのは嬉しいけど、ちょっとうるさいかな」


 六駆くんのハートもキャッチしたマザー仁香すわぁん。

 これは浮気ではない。尊敬である。


 それから3日できっちり3つのパビリオンが完成したという。

 その働きに免じて今回はバルリテロリ建設のメンバーも式に参加を許された。


 さあ。

 大結婚式だ。

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