異世界転生6周した僕にダンジョン攻略は生ぬるい ~異世界で千のスキルをマスターした男、もう疲れたので現代でお金貯めて隠居したい~
第1412話 【エピローグオブスカレグラーナ・その1】ナグモ、何しに来た! サカガミも来た! ~久坂一門も来た~
第1412話 【エピローグオブスカレグラーナ・その1】ナグモ、何しに来た! サカガミも来た! ~久坂一門も来た~
異世界スカレグラーナ。
ホマッハ族によるナグモディスとか、竜人たちのトリオ漫才とかがフォーカスされて久しい当地だが、本来の担当監察官は久坂剣友だった事を一体どれ程の観測者諸君が覚えておいでだろうか。
日本本部が各国探索員協会に有償で提供している転移石【
久坂さんはその独占製造権を持っており「ひょっひょっひょ。じじいの小遣い稼ぎにそう目くじら立てんでもよかろうが」と言って憚らないが、具体的な金額にすると隠居前の六駆くんが「うひょー!!」と叫ぶレベルの収入になっている。
そりゃ庭にラブホテルとかアパートとか建てられる敷地面積の家だって買えるというもの。
現世、そして異世界を見ても転移スキル使いが極めて希少であるため、ダンジョン攻略や異世界へ向かう際、そして帰って来る際、もう転移石なしでは面倒過ぎてやってらんないようになって数十年が経過しており、ネオ国協体制が始まるとあってスカレグラーナのイドクロア採取状況の視察を1度きちんとやっておきましょうという運びになったのだ。
「久坂さん。私、忙しいんですよ? やる事が無限に増え続ける地獄みたいになってるんですから」
「そがいに寂しいことを言われるとは、悲しいのぉ。青瓢箪じゃった修一を世界のトップまで育て上げるのは大変じゃったのに……。そうかそうか、喉元過ぎれば熱さを忘れるタイプじゃったもんのぉ、修一はのぉ」
南雲さんに久坂さんが「スカレグラーナの管理、いい加減にご自身でやってください」と苦言を呈されて「ほいじゃったら今回は一緒に行ってやるかの」と切り返される、未だに一枚どころか八枚くらい上手なじい様。
「ったくよぉ。なんだぁ? この異世界……クソ暑いんだよなぁ。小鳩ぉ。おめぇ長袖のシャツ羽織っとけよなぁ」
「あらあらうふふですわ! あっくんさんがわたくしのスキンケアまで心配してくださるようになりましたわ!! 幸せで困りますわ!!」
ちょうど非番だったあっくんと小鳩さんも今回の視察に帯同している。
五十五くんはバルリテロリでお仕事中なので本日は欠席。
代わりにこの男がいる。
「うわぁ!! いつ来ても荒れてる異世界ですね!! こんなに荒野が続いてると久しぶりにスキルぶっ放したくなるなぁ!!」
逆神六駆。エピローグ時空になってからは腰が羽毛のように軽く、フットワークも比例して軽くなり続けており、自分に責任のないイベントは積極的に参加する部活のОB的感覚でどこにでも出現する。
「ナグモ! ナグモ来た!!」
「ナグモ! おめでとう!!」
「ナグモ! 子供には赤い血が流れてるか!!」
ホマッハ族がとりあえず駆けつけナグモ三杯。
「……彼ら、そういえば久坂さんに対して何も言わないよね」
「ひょっひょっひょ! これが人付き合いの妙ってヤツじゃろのぉ!」
続けて金色の巨体が降下して来た。
スカレグラーナにおけるナグモの生命線、帝竜人バルナルド様である。
「ナグモ。あ、違う。南雲。そして逆神六駆。あとは誰だか分からぬが、はじめまして。余はスカレグラーナの守護竜バルナルド。卿らの来訪を心より歓迎する」
「ご無沙汰しております、バルナルド様。……ナポルジェロさんとジェロードさんはどちらに?」
「ジェロードは間もなくやって来るはずである。ナポルジェロは……。余の力不足であった……」
バルナルド様が目を伏せる。
「え゛。古龍の寿命って1万年を超えるんだよね!? 逆神くん!?」
「そうですけど、まあ平均寿命ですらね。人間だって1桁歳で死んじゃう子がいて、100歳越えても死なないばあちゃんがいて、全部ひっくるめての平均寿命が80そこそこじゃないですか」
冥竜人ナポルジェロ(4000歳とちょっと)、逝ったのか。
「いや、そうではない。余の言いようが悪かった。非礼を詫びよう。ナポルジェロは余がよせと言うのを聞かず、芽の生えた芋を食べたゆえ……。今は病床に臥せっておる。鬼の者たちに看病を任せておるゆえ、心配には及ばぬ」
「古龍って芋の食あたりで死んじゃうんですね! しょうもないなぁ!!」
「逆神くぅん!! 歯に衣着せよう!? 君、割と仲良しでしょ!? 竜人さんたちとさ!!」
「南雲のフォローは沁みる……。余は卿と友誼を持てた事が最良の幸運であった」
六駆くんは異世界転生
「修一。ワシはジョーちゃんとイドクロア見てくるで。おー。こりゃいけん。腰が痛いのぉ! すまんがジョーちゃん」
「ったくよぉ。男手でまともに使えるのが俺だけじゃねぇか。その年でよくもまあ、そんだけ悪知恵が働くぜぇ。当分ボケそうにねぇなぁ、じい様よぉ」
久坂さんとあっくんが鉱山地帯へ向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
お忘れの方のためのスカレグラーナ。
この異世界は火山が文字通り山ほどあるので、その内の1つだけからでも日本本部で使用される5年分の【
そんなスカレグラーナで封印されていたのが古龍たち。
封印したのは
封印した理由は何となく。
気付いた時には目覚めた古龍たちがご立腹だったので「六駆、ちぃと頼みがある」と鎮圧を任せたのが久坂さん。
そのままなし崩し的に南雲さんに管理を放り投げたのも久坂さん。
「小鳩さん! お久しぶりです!!」
「まあ! ルッキーナさん! お元気そうで何よりですわ!!」
ホマッハ族の突然変異種がルッキーナちゃん。
どなたか彼女の両親の所在が分かれば教えてください。
銀色の翼が轟々と羽ばたき、六駆くんの眼前に着陸した。
金色と黒いのが目立つせいで幻竜の色は忘れられがちだが、ジェロード親方は銀色をしている。
「逆神六駆」
「あ、はい。なんですか? ジェロードさん」
「貴様……!! 我は許しておらぬぞ……!!」
「えっ!?」
なんだかお怒りのジェロードさん。
その理由を端的に教えてくれるのが幻竜人の良いところ。
「なんで怒られてるのか分かんねぇのか!!」と手始めにキレる面倒な部活の顧問みたいなタイプを相手にすると「許されよう」ではなく「面倒くせぇ」が勝つので良くない。
「貴様が婚約指輪を作りたいと申すから、我はホグバリオンを砕いてやったというのに!! そのまま有耶無耶にしおったな!! 鍛冶をないがしろにするとは、このジェロード、許しはせぬ!!」
「……あー!! そういえば!!」
お忘れの方のための六駆くんによる婚約指輪作り。
莉子ちゃんにプレゼントするから手作りで仕上げたいんですとジェロード親方に弟子入りして、指輪の素材に選んだのはホマッハ族の秘宝剣ホグバリオン。
何度も集中力を欠いてぶっ壊しまくったホグバリオン。
挙句の果てに途中でバルリテロリの一斉侵攻が始まったため、そのまま放置。
戦争終結後にちゃんと続きをやればよかったものを、今は8月の第3週。
戦争が終わったのは1月だから、半年以上放置をキメていた。
「……僕、やる気はあります!!」
「貴様! 白々しいにもほどがある!! 1度だけは許そう! 我の指導は厳しいぞ!!」
「頑張ります!! じゃあ、南雲さん! 僕、用事が出来たので!!」
「炉に火をいれてある。来い、逆神!」
六駆くん、婚約指輪作りにもう1回チャレンジするってよ。
「ええ……。私、やっぱり来なくても良かったんじゃないの?」
「南雲。BLEACHの新アニメの話をする時は今ではなかろうか。余はアニオリ展開で零番隊がものすごく厚遇されておった点について考察したい。あとやっぱり何年経っても千本桜が始解の時点でもうカッコ良い」
「私もね、一応得物は剣なので! オリジナル解号は常に考えながら仕事してます!」
「余のオリジナル解号『
スカレグラーナ回は基本的に同窓会みたいになるので、平和で結構。
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