異世界転生6周した僕にダンジョン攻略は生ぬるい ~異世界で千のスキルをマスターした男、もう疲れたので現代でお金貯めて隠居したい~
第1210話 【乙女たちと乙女たちの戦い・その5】24歳お姉さんと62歳♂VS逆神六宇(20)
第1210話 【乙女たちと乙女たちの戦い・その5】24歳お姉さんと62歳♂VS逆神六宇(20)
まずは現在、真横にすっ飛んでいる莉子ちゃんのお言葉から。
「ふぇぇぇ……。今、なんだろ。すっごく不愉快な概念が生まれた気がする」
ありがとうございました。
ピュアドレスは依然として暴走中。
莉子ちゃん敵国、敵大本営、横断中。
◆◇◆◇◆◇◆◇
こちらはオタマの敵分断からの各個撃破戦略の被害者になってしまった乙女。
「あわわわわわわわわわわわわわ……!!」
逆神六宇ちゃんである。
彼女は喜三太陛下記念高等学校の制服をミニスカートに改造して着用している。
当然だが別に装備ではない。
女子高生にとって制服は戦闘服やろがいと言えば、確かにそうかもしれん。
だが、スキル使い同士の戦いにおける装備でない事は確か。
短パン(敵から貰った)とキャミソール(イオンで買った)で戦っていた乙女もいるが、彼女が特別なヴェルタースオリジナルだっただけで、普段着で戦場の最前線に出て来る子はいない。
急に敵が攻めて来たので戦場にはやや積極的な姿勢で出て来たが、初陣はクイントと、今回はオタマと一緒。
あくまでもサポート役として参戦している自負がある六宇ちゃん。
「ひゃわわわわわわわわわわわわわ……!!」
眼前にはどう見ても強い、白い鎧を身に纏った美人。
そう言い切れるのには訳がある。
無駄に露出してない。
美人なのに。
おっぱい大きいのに。
スタイル良いのに。
じゃあ絶対にガチで戦う人なので、絶対ガチで強い。
バルリテロリの女子高生はバカだが愚かではないのだ。
もう絶対にガチで強いと小鳩さんを看破。
そしてもう1人。
おじさんだらけのバルリテロリ陣営でずっと奥座敷に待機しており、数多のおじさんたちが散って逝く様を見届けて来た六宇ちゃん。
女子高生とおじさんに密接な関係が確認されている事は広く知られているが、大きな声では言ってはいけないことも広く知られている。
つぶらな瞳が見つめる先のおじさんは。
「ふっ。まったく、戦争とは無常なものだ。これはルベルバックの司令官が言ったものだったか。またしても子供を相手に拳を振るわねばならんとはな。……だが! それでも、ここ最近の私が相手をさせられて来た者たちに比べれば!! ずっと高潔な戦いができる気がしてならん!!」
なんかヤる気満々である。
バニングさんの直近の相手はクイント。
その前はクイントと六宇ちゃん。
その前の前はクイントとチンクエ。
直近のパートナーはサービスさん。
今この瞬間、この戦い、間違いなく高潔。
女子高生が母国のため戦地で足を踏みしめて「あわわわ」とカクカク震えている。
もう絶対に高潔。
ラストバトルがVSクイントで終わるのはとても嫌なバニングさん。
ただでさえ、氏は戦績が芳しくない。
どうしても「かつての強敵、味方になると急に凡人」ロジックに叩き落とされてしまいがちなバニング・ミンガイルという男。
味方として参戦したピースとの戦いを思い返すと、散々なものだった。
ベストバウトがVSダンディロボと賢い犬と辻堂さん。
しかも引き分けた。
かつての強敵は新たな敵の戦力指標として用いられることが多いのは氏も理解している。
しているが、多対戦だと指揮官ポジションを与えられて、味方には基本的に莉子ちゃん辺りが潜んでいるし、タイマンになれば相手がアレして心がモニョる。
それはバルリテロリ戦争になっても変わらず。
日常回ですら地獄を見せられるようになって久しい。
最期は高潔な戦いで締めくくりたい。
これは、戦いに生き、戦いに散って逝く予定だった男として譲れない。
ミンスティラリアには年取らない綺麗な嫁さんが待っている。
氏はまだ知らないが、愛弟子は自分が50年近くかけたラブコメをたった1日で完走して、今こうして自身が切れた唇から染み出る鉄の味を噛みしめている間にも、魔王城で水着デートしながら仕事をしている事実。
このまま最終戦がVSクイントで終わってミンスティラリアへ戻ったら、一気に老け込んでおじいちゃんまっしぐら。
「小鳩。ここは私が相手をしよう。敵も1人だ。しかも少女。作戦行動としては誤りである事、百も承知。私とて、かつては万を超える軍勢を指揮した男。……しかし!! 彼女の矜持に報いるは! 戦士の務め!! 老兵として、若き戦士と仕合っておきたい!!」
バニングさんの瞳に炎が戻って来た。
一見すると女子高生を見つけて血気盛んに滾っているようにも見えるが、もうそれ事実なので訂正のしようもないが、お排泄物ではない敵の登場なのである。
「ええ。かしこまりましたわ……! 先ほどの戦いで彼女もかなりの使い手だという事は承知しておりますもの。わたくしたちが同時に消耗するよりも……ですわね……!」
「ふっ。私を捨て駒と言い切るか……! やはり小鳩! お前はさらに強くなる!!」
バニングさんが無言で『
対する六宇ちゃん。
「なんでぇぇぇぇぇ!? オタマぁ!! 話違うじゃん!! あたし、スキル使えないんだけど!! 『
涙目であった。
バニングさんが呟く。
「ふっ。涙を浮かべるか。……故郷のために!! その高潔な精神! このバニング・ミンガイル、忘れはせん!! 推して参るぞ!!」
「あばばばばばばばばばばばば……!!」
推して参られる。
◆◇◆◇◆◇◆◇
1対1の構図になったのは六宇ちゃんにとっての最悪を回避している事、彼女自身気付けていない。
最悪なのは小鳩さんとバニングさんが「敵ですわね」「そうだな。やるか」と躊躇せずに襲い掛かって来るパターン。
特に『
それを回避できたのは、前述のクイントと一緒の初陣で輝きを放った『
粗削りと呼ぶにも程遠い、ただの
そして現世サイドにとってご新規様なので「こちらが多数と見て効果範囲の大きな一撃を、しかも連発して来る」戦闘IQ高めな女子高生に見える。
ならば、「
現世には六宇ちゃんと似たタイプの乙女がいる。
身長は六宇ちゃんの方が高い。
胸部装甲も六宇ちゃんはBランク。
お尻回りだけ同サイズだが、腰回りの話をすると、その話題を振った者の姿をその後誰も見る事はなかったとされる。
初見時の莉子ちゃんとかなり印象が被るのである。
お互いにけん制し合っている間は「こいつ、小技を使うタイプか」と思わせておいて、道中でどこかしらの不具合が生じて
初期ロットの莉子ちゃんを知っていればそこに至る経緯も知っているので「そーゆうもんだにゃー」と落ち着いてもいられるが、バニングさんは最愛のアリナ・クロイツェルさんをうっかり失いかけるほどの戦いを見せられて分からされており、小鳩さんも途中参加でそれまでの話は聞いているが、それでも「……途中参加で本当に良かったですわ」と目を細める。
ゆえの警戒。
ゆえの一騎討ち。
それを知らない六宇ちゃん。
というか、彼女はスキル使いではなくバカな女子高生(20)なので、そんな戦闘IQは持ち合わせていない。
「だぁー! もー! 知らない!! 『
できる事と言えばこれだけ。
ならばできる事をやらねば。
真横に走る
「やはり……!! このプレッシャー!! 彼女は莉子タイプか……!!」
ここに来て「莉子タイプ」とかいう概念が生まれてしまった。
発現させておいた『
いやさ、できない。
莉子ちゃんを知っているから。
「ちぃっ! 判断が遅れた! 本当に感じたくないものだな! 老いというものは!! 『
見慣れた感じの斧を投げるハンマーブロス・ミンガイルさんだが、こちらは初出のスキル。
回転させることで
「ぎゃー!! 『
「なんだと……!? 先発させた
焦って蹴り飛ばしたから力加減が安定していないだけである。
が、スキルは発現されるまでのプロセス、その基礎がどんな流派でも確立されているため、同じものを違うスピードで繰り出せるのは熟練されたベテランが見せる技術、あるいはひよっこが
対峙しているバニングさんは六宇ちゃんを「莉子タイプめ!!」と思っているので、「こいつ、技術を得た莉子か!!」とさらに警戒を強める。
だが、後ろで戦いを見つめる小鳩さんを忘れてはいけない。
彼女は武芸百般・久坂流の門弟であり、探索員の基礎も全て収めており、さらにはチーム莉子でむちゃくちゃな戦いに身を投じて久しい。
「なんてことですの……!! わたくしの理解が追い付きませんわ!! こんな秘密兵器がまだ残っておられましたのね!? バニングさん! 気を引き締めてくださいまし!!」
基礎を固めていればいるほど、多くの場数を踏むほど、
塚地小鳩&バニング・ミンガイルVS逆神六宇の戦い。
現状、誰ひとりとして戦局が理解できていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます