異世界転生6周した僕にダンジョン攻略は生ぬるい ~異世界で千のスキルをマスターした男、もう疲れたので現代でお金貯めて隠居したい~
第1159話 【逆神くんに隠密行動とか無理だよ・その2】バルリテロリだってやられっぱなしじゃないんや! ~宝物庫トラップを設置や!!~
第1159話 【逆神くんに隠密行動とか無理だよ・その2】バルリテロリだってやられっぱなしじゃないんや! ~宝物庫トラップを設置や!!~
小鳩隊が一旦作戦を中止して移動を開始した。
陽動班がいなくなったことにより、こちらの南雲隊はより一層目立つ上、そもそも狙っているのが情報なのでバルリテロリサイドとしては絶対に阻止したい。
「ふんすー!! 『
「あ。そうだった。ノアくんの穴って基本的にどこかに連結して吸収したものを排出するんだよね……」
「ややっ! さてはボクに夢中ですか! 南雲先生!!」
「夢中だよ? もう君、私の中では目が離せないランキングの同率1位を除いたらちょいちょい最上位に来るようになったからね? 穴の中の異空間に留めておくとどうなるんだったかな?」
「お答えしましょう!! 穴ちゃんの中にキープしておく事も可能です! ただ、穴ちゃんが出せなくなります! ボク、
「君のスキルは絶対に誰にも真似できないから良いけど、誰がが習得したらと考えるだけで私ね、ハゲそう……」
目を伏せる南雲さん。
それはいけない。
「南雲監察官。貴官らしくもないミスでしたな」
「えっ。私、何かやっちゃいました!? 私がこれ言う時って本当に何かやっちゃってるから嫌なんですよ!!」
「ノアちゃんがふんすしました」
「ああ……」
そこには元気よく爆発する皇宮の壁があった。
とはいえ、ついさっき喜三太陛下謹製モビルスーツの雨を降らせたバルリテロリの居住区辺りに今度は爆発という、それはもう物質ではなく事象なのではとか考えている間に人が死にそうなものを穴からお届けするのはさすがによろしくない。
ならば現場で処理する必要はあったのだ。
そのタイミングを指揮官に聞かなかっただけで。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」
「南雲監察官」
「はい。逆神くんのチャージがちょっとずつ大きくなってますね。彼、もう忘れちゃったんだろうな。自分で言ってた事。皇帝の場所を察知したら真っ先に向かうって……。こんなに自己PRキメてたら、その皇帝にもバレてるからね……。もう君しか見てないよ、敵も」
壁をぶっ壊す六駆くん。
壁に穴を空けて穴から爆発を取り出して、最終的にはぶっ壊すノアちゃん。
師弟コンビの良くないハッスルによって、当然のようにバルリテロリサイドから特大の警戒を向けられていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
皇宮が亡くなるカウントダウンを察し始めた奥座敷では。
「……何十年も過ごして来た家が目の前でぶち壊されていくのって辛い」
「はっ。左様ですか」
喜三太陛下のメンタルが削られていた。
奥座敷のメンバーは「あれだけの戦力を集めた部隊を陽動にするとは。つまり隠密作戦をしている部隊は何か我々にとって致命的な事をしようとしているに違いない」と考えており、テレホマンとしては「電脳ラボが危ない」と憂いていたのだが、結果的にやってる事は皇宮の爆破という何も隠していないけど致命的なナニか。
「チンクエ! 合体すんぞ!!」
「兄者とひとつになれるのは良い……。ただ、兄者。まだ早すぎる気がするのも良い……。さっきまで戦っていた兄者はこれで3度目の出陣。多分、尺が削られて即死のパターンが見える。それも良い……」
チンクエも切れ者だが、この世界の造詣はまだまだ浅いと言わざるを得ない。
水戸くんとか故・雷門クソさんとか、一体何度同じシチュエーションで戦って、そして生存してきたとお思いか。
雷門クソさんに関しては味方のゴリラに急襲されてキメラになって、今はゴリ門クソさんになったものの、それでもまだギリギリ生きているかもしれないシュレディンガーの雷門として留まってはいる。
ならば、さっさと合体して戦うんですよ。
「陛下。よろしゅうございますか」
「ええ……。オタマが久しぶりにお許しを得てから申し上げてくるやん……。ワシ、死ぬんけ?」
「申し上げようか迷っていたのですが」
「抱いてもええんか!?」
ガッと音がした。
「ですので、申し上げようか迷ってございました」
「はい。では、ワシは側頭部の治癒をするので申し上げておくんなまし」
オタマが頷いてからメガネを取り出した。
「えー! なに、オタマ! 急にメガネ女子になったじゃん! かわいー!! あたしもかけようかな! 頭いい感じに見えるかも!!」
「いいえ。六宇様」
「なんで今、はいじゃなくていいえって言ったん? あたしが賢く見えるかもってとこを否定したみたいになったよ?」
「六宇様……!!!!!」
六宇ちゃんがしょんぼりした。
数分前に死にかけたのだから、優しくしてあげて欲しい。
「陛下のひ孫様のこれまでを拝見していたところ、やはり価値のある囮が有効かと愚考いたします。クイント宮に載せたイドクロアにもお釣られあそばされましたし。その前の宙域で戦っておられた際も、陛下の玩具の残骸を回収しておられました。端的に申し上げますと……守銭奴タイプ、かと」
オタマがメガネをクイっとやった。
テレホマンが「左様ですね」と同調し、チンクエが「良い……」と頷いてクイントが「おっほぉぉぉ! メガネ使い終わったらくれよ!!」と興奮して
「なんでそれをもっと早く言わんのや!! 気付いた時点で言えよ!!」
「はい。陛下。宙域で迎撃していた際には陛下がおトイレにてナニしておられましたので。クイント宮に関しては、そもそも陛下がお隠れになっておられた際の緊急措置でした。この世におられなかったのでご報告の仕様もないかと存じます。若返って戻られてからは見せパン創りに勤しんでおられましたし。定期的なセクハラにもご執心でした。それを私の責と申されるのであれば、はい。陛下。このオタマはしかと御言葉、拝受いたします」
陛下が「ごめんやで」と呟かれた。
続けてもう「ばぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」と
テレホマンが「あ。奥座敷がバレましたな」と天を仰いだ。
「良い……。私のお気に入りだったナタデココのスキルを使っておいたから良い……。奥座敷はプルプルした空間でコーティングしてあるから良い……」
「チンクエ様ぁ!! このテレホマンが無能なばかりに……御心を騒がせ奉り恐縮でございますぅ!!」
ルベルバックで遭難中の八鬼衆が1人、不飲のナタデココ。
スキル使いとしては八鬼衆の中でも下級クラスだったが、研究畑の出身なのでその能力は有用性が高かった。
チンクエは「兄者のラブコメを見届けるまで皇国に滅んでもらっては良くない……」という強い芯が一本ぶっ刺さっている男。
そのためならば無言で有能ムーブだって厭わない。
「よっしゃ!! 宝物庫創ったで!! 中には日本の紙幣を創っといた!! これでひ孫、釣られるやんな!!」
「キサンタってやっぱすごいよねー。離れた場所でも構築スキルできるんだ?」
「六宇ちゃん、ここワシの家やで?
「……そんな準備しといて、なんであたしをクイントと一緒にあんな怖いとこに連れてったの?」
「ぶーっははははは!! ついでに爆破するギミックも付けてやったわ!! これでひ孫に隙ができた瞬間に……ボンッ……よ!」
陛下。それはいけません。
ただ、何故それがいけないのかまで把握している者はバルリテロリサイドに存在しない。
今は急に宝物庫が出現するという六駆くん専用トラップが発現された。
それだけなのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ノア隊員が気付く。
「うあああー」
彼女はバカを装った天才か、天才のふりをしたバカか、その紙一重を突破した二刀流。
今回は天才寄りのノアちゃんが顔を出す。
「南雲先生」
「今度はどうしたの?」
ノアちゃんが六駆くんの場所を確認して、「猶予は5秒ですね。ふんすです」と確認したのち、早口で報告する。
「露骨にお金が置いてある部屋が、ボクの穴ちゃんをくっ付けてた壁の向こうに出てきました。もうこれどう見てもふんすです」
「えっ。……それはふんすだね!! ありがとう、ノアくん! お手柄だ!!」
六駆くんが壁を壊して戻って来る。
「ねぇ、ノア! 今、お金の話した!?」
「ゔぁ……! ボクは分からないです!!」
「ノア? 僕ね、ノアに色々と教えられる事が多かったんだよ。これまで僕、長いこと戦って来たからさ。独りでやってく自信もあったし、今でもそれはある。けどね、ノアみたいな視点で物を見る事はこれからもできそうにないんだ。……それで、お金の話した?」
「ふんすっ!! そこに何故か五千円札が束になって置いてある部屋がありました!! 五千円というチョイスの時点で色々とふんすですが、興奮したのでボクとしてはオッケーです!!」
ノアちゃんは元々、六駆くんガチ勢である。
六駆くんから長文で褒められると興奮してしまうのはスキル使いとして彼女の根源であり、今のノアちゃんを構築している成分でも未だ多数派。
「ノアくぅぅぅぅぅん!! 君ぃぃぃ!!」
「南雲先生! ボク、自分に嘘はつけませんでした!! 興奮しちゃいました!! ふんすっ!!」
「う、うひょー!! やっぱり現金ってアレだよね! 本当に見てるだけで興奮するって言うかうひょー!!」
「ほらぁ!! こっちも興奮しちゃってるでしょうよ!! ライアンさん!!」
「はっ。まあ、罠でしょうな」
「違うんですよ! そうじゃない! これからまだどうにかなる方法を分析してくださいってオーダーなんです!!」
「南雲監察官。ワンコとにゃんこではどちらがお好みですかな?」
「そう言えばライアンさんも逆神流の門弟になってるんだった」と思い出した、苦労人の第一席は譲らない、南雲修一監察官である。
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