異世界転生6周した僕にダンジョン攻略は生ぬるい ~異世界で千のスキルをマスターした男、もう疲れたので現代でお金貯めて隠居したい~
第1148話 【国を護るミニスカ・その2】逆神クイント太郎、とても強くなる ~敵に哀しき過去とかないのがこの世界。あるのは穢れた欲望だけ。~
第1148話 【国を護るミニスカ・その2】逆神クイント太郎、とても強くなる ~敵に哀しき過去とかないのがこの世界。あるのは穢れた欲望だけ。~
奥座敷では喜三太陛下とオタマ、テレホマン。
皇宮回の初期メンバーに加えて兄者ラブコメ推進隊長に就任した逆神チンクエ次郎の4名が皇宮内に設置されている『まだまだテレホーダイ・アゲイン』によって小鳩隊と戦闘を開始したクイント&六宇の様子を見つめていた。
「ぶーっはははは!! 勝ったな!!」
「はい。陛下。おヤメください。六宇様が頑張っておられるのにも関わらず、そのような死亡フラグを皇帝陛下が自らお立てあさばされますか。偉大なる為政者としては正しいかもしれませんが、皇宮秘書官としてはいささか目に余ります」
「しかしオタマ様。六宇様の戦闘力が想像をはるかに上回る事は間違いありません。陛下が六宇様をお呼びしてからずっとドラクエ6をプレイさせておられる御姿を見て、このテレホマン、崇めるべき皇帝の脳内を疑った回数2桁に及びましたが。この瞳、曇ってございました。六宇様が懐刀だったとは」
「え。……うん。そうやで?」
「はい。陛下」
「えっ。オタマ様? あれ、陛下?」
「……………………」
テレホマンが宸襟を騒がせ奉ることにした。
「陛下。先の太子妃様との戦いで、皇太子殿下に言われておられました事、このテレホマンはしかと記憶してございます。……都合が悪くなると黙られるのは、逆神家の伝統なのですか?」
「…………………………………………………………違うけど?」
今のところ奇数世代に色濃く見られる、逆神家の特徴である。
「テレホマン。陛下のクソ采配も良い……。結果として、なんかラブコメが捗ったから良い……」
「おい、クソって言うなや!! チンクエはテンション低いからさぁ! 急にそういう辛辣なこと言われると、なんかキュッてなるんだわ!! そうだけどぉ!? 六宇ちゃん、なんか思ったよりも強くね? ってワシ、さっきからビックリしてますけどぉ!?」
「えっ。お言葉ですが、陛下。ではなにゆえひ孫様である、もう陛下をおじいちゃんと呼んでくださる唯一無二のひ孫様であらせられる六宇様を戦場へ……?」
「……………………………………………………」
オタマが玉杓子で陛下を
「はい。テレホマン様。六宇様はお年の割におポンコツであらせられます。恐らくですが、
「オタマは良い……。全部分かっていて引き止めないところが良い……。兄者に心を許す可能性があるという事は良い……。テレホマン。六宇は制服を着ている。これは良いと思うか?」
「は? ……はっ!? チンクエ様……まさか……!? 貴方様が私を謀ることはない事、承知しておりますれば……。なんという……」
「テレホマンは全身が硬いのに頭の中は柔らかいのが良い……」
電脳戦士がピーガーヒョロロローザー……とテレホ脳をフル回転させて、結論にたどり着く。
「陛下? ひ孫様であらせられる六宇様をクイント様の
「……………………………………………………違うで?」
左様でしたか。
纏めると、六宇のスキルにもなっていない荒削り過ぎる攻撃力は想定外。
想定していたのは、20歳女子高生のミニスカによるクイントの大幅パワーアップ。
そっちがメインだったのに、なんか思ったより六宇が戦えてしまっているので喜三太陛下はちょっとお戸惑いあそばされていた。
「はい。陛下。クイント様が露骨に屈伸運動をされ始めました。六宇様は立ったままです。どう見てもスカートの中を覗こうとしている動きですが。どうお考えですか? 私はいち臣下として、同時にいち女性として吐き気を催します」
「ぶーっははははははは! 計算通りや!! ええやん! 見せパンなんやし! 減るものでもないし!! 太ももと黒い布切れでパワーアップするとか! お得やんけ! ……オタマ? なんで玉杓子出したん? あー! 分かった! ワシのエキスが欲しいんやな! よっしゃ! すぐに出してやるから、それ貸してみ? 若いからすぐに出ぼふぅぅぅぅぅ」
奥座敷では戦局を真剣に見守っている。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「なんつーか。言いづれぇんだけどな」
「ちっ。マジさー。クイントさー? ちょっとはマシかなって思わせてからのそれ、なんなん!? ねー!! もう露骨にあたしの足元に転がってんじゃん!! 屈伸しててそうはならんでしょ!?」
クイント式柔軟体操ではこうなるのだ。
まず通常の屈伸運動から、腰を砕いて床に背を付け、肩甲骨をゴリゴリ擦りつけるのがクイントの戦闘ルーティーン。
先のクイント宮の戦いでは一切見なかったけれども。
「脚、もうちょっと開いてくれっか?」
既視感のあるお願いが飛び出していた。
「ちょっとおっぱい良いですか」とどちらがよりお排泄物なのだろうか。
「ふざんけなし!! なんでそんな事、あたしがやんないといけないの!? 恥ずいじゃん!!」
「おほぉぉぉぉぉぉ! 照れ顔、ヨシ!! やっぱおめぇだわ! 六宇ぅ!!」
「マジで……。足元でガッツポーズしてんだけど、おっさんが……。あんた、何歳だっけ」
「30過ぎると自分が何歳なのか咄嗟に出て来なくなるんだわ!!」
逆神クイント太郎。36歳。
割と笑えない年齢である。
住所不定無職の36歳男性。
この字面だけで、もしも自分が朝起きてこの男に転生していたらと想像すれば廃人化は必至。
できれば仕事なんかしたくないし、1日中家で寝転がってダラダラしていたいが、最低限は社会的地位って必要なんやなと教えてくれるクイント太郎。
老後に備えた貯金の見直しとか、保険のプラン変更とかまで考えそうになる。
仕事があるだけ全然マシとまで思えたら、我々は生きていける。
「おいぃぃぃぃ! 早く脚開けよぉぉ! 間に合わなくなっても知らんぞぉぉぉ! すっげぇ
「じゃあなんでクイントは床に転がってんの!? ねぇ! せめてピンチを解消してからでしょ! そーゆう交渉!! 例えばさ! お前の安全を守るから、スカートの中見せろ! とかじゃん!! ……あ゛。……あたしってね。多分マジでバカなんだと思う」
クイントが床でブレイクダンスのようにアクロバティックかつダイナミックな動きをしたかと思えば、回転しつつ立ち上がった。
「ふーっはははははは!! 『
明らかに隙だらけだったので連射していたパイセンの矢と小鳩さんの『
ナニしなくても充分に強いのはこの男が1度ほぼ死んでいるため、逆神家の特性によって
「すごっ……。ゔぅぅぅっ!!」
「やったぜ? おめぇのために。オレは。六宇!!」
キメ顔のクイントが振り返った。
瞳が輝いていたという。
◆◇◆◇◆◇◆◇
納得いかないのは小鳩隊。
「お排泄物ですわよ……」
「うにゃー。小鳩さんだけ知らないのは気の毒だから教えちゃうにゃー。あの人、おっぱいジャンキーだぞなー。おっぱい追いかけるだけで強くなるんだにゃー」
「そんな殿方、日本本部にも何人かいらっしゃいますわよね?」
「のんのん、ののんだにゃー。たった今入った情報によると、あのガチムチさんは低刺激なおにゃのこ成分で覚醒しちゃうタイプみたいだにゃー。水戸さんとか六駆くんのお父さんよりも省エネで地球に優しいぞなー。川端さんはあたしのおっぱいに興味示さんから紳士だにゃー。上官が部下に発情したら社会人として終わりって言ってたぞなー。敵ならオッケーらしいぞなー」
地球さんから「ワシにはものすごく厳しいのですが」とクレームが入りそう。
同じだけの酸素を吸われるのならば、清らかな魂を選びたい。
ただ、ここはバルリテロリだったので「ならええか!」と地球さんもにっこり。
「恐ろしいというか、おぞましいというか。あの男。ほんの1時間と少し前にボロボロになるまで追い詰められたにも関わらず、明らかに今の方が強いぞ。どう思う、瑠香にゃん」
「ステータス『瑠香にゃんサーチしたくない』を獲得しました。ですが瑠香にゃんは仕事をします。これが社畜ですか。瑠香にゃん、戦争終わったらミンスティラリアで実験兵器に戻ります。チーム莉子の職場環境、辛いです」
光が消えた瑠香にゃんの瞳が光った。
日本語が難しくなっている。心情的な比喩と物理的な発光が重なってしまったディスティニーのいたずら。
「サーチ完了しました」
「そうか。どうだった」
「バニング様が瑠香にゃんランキングで急落しました」
「なぜだ?」
「敵のクイントなる男が、制服姿の女子高生の下で大の字になって寝転び、スカートの中を見上げてニヤニヤしていました。端的モード。なんちゅうもんサーチさせるんですか。元上司」
「……すまん」
瑠香にゃんメモリーに良くないものが記録されてしまった。
「に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! まずいぞなー!!」
「今度はなんですの!?」
猫は自然災害と変質者に敏感。
すぐに皇宮が揺れ始めた。
地震かな。
「ガチムチさんが小刻みに震えとるぞなー!! しかも
「え゛。その単位はなんですの? ……撤退するのも手ですわね。」
「ご主人マスター。敵、性犯罪者の
「ふっ。殿ならとっくに準備は済んでいる。任せてもらおう」
「ステータス『とても言いにくい』を獲得。でもお伝えします。バニング様が殿を務めた場合、ご主人マスターが見捨てられずに撤退成功率が1%に低下します」
ファンタオレンジの果汁がだいたい1%です。
小鳩隊がクイントを見た。
なんだか滾っていた。
隣にいる六宇を見た。
なんだかプルプルしていた。
ここからが本当の地獄なのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます