第935話 【時系列の乱れる日常回・その6】平山ノアの「月刊探索員編集部からとっておきのランキングをお届けします!!」 ~当然のようにモノローグはボクのものです!!~

 もはや説明不要である。


 ノアちゃんは自分の日常回の接近を察知する異能を手に入れており、「あ。来ましたね! どいてください!! ボクの回です!!」とモノローグ権限を奪取。

 奪われたからにはラインを超えないように、するのは恐らく無理なので、超えた瞬間にフォローを試みるのが観測者にできる唯一の抵抗。


 バルリテロリ一斉侵攻を退けてからの4日間。

 休養日に月刊探索員編集部にて暗躍していた様子はお届け済みですが、期間が4日もあったのです。


 このボクッ子が1度の暗躍で満足するでしょうか。

 つまり、今回も月刊探索員の編集部で彼女は暗躍しております。


 それではモノローグをどうぞ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 最も嫌いなおじさんは前置きばっかり長くて本題に入るまで時間がかかるタイプ。

 一言「今回はとっても可愛いノアちゃんがお送りします!!」で済むのに。

 理解に苦しむような無駄な尺をどうして使うのでしょうか。

 理解できません。


 ————おのれ。理解できないって2回も言った。


 みんなの後輩ヒロイン。平山ノアです。やっぱり16歳です。

 実は芽衣先輩と同い年なのでボクも最年少と言い張りたいのに、こういう組織は学年で区別するから困ります。


 さてさて。

 月刊探索員の特派員としてお仕事を。

 とってもビッグなグレートジョブをするために今日はやって来ました。


「お邪魔します!! 平山ノア! 未来の編集長がお邪魔します!!」

「あ゛。ノアちゃん。タイミングが悪い」


「お疲れ様です。平山Dランク」

「ややっ。ボクは用事を思い出したのでちょっと失礼します!!」


 横尻弥生編集長(29)が福田弘道先輩に捕まっていました。

 きっと何かの記事が福田先輩のお怒りに触れたんだと思います。



「確認したいのですが。楠木監察官にワインを差し入れたのはあなたですね? 平山Dランク」


 あ。ボクが原因でした。


 ————月刊探索員の検閲担当になった楠木さんをワインで買収した翌日がこの時間軸です。福田さんは前任の検閲担当です。



 こんな時こそ逆神流の教えを思い出す時です。

 逆神先輩の弟子になっていて本当に良かったと思うボクです。


「福田先輩!」

「はい」


「ボクはとっても素敵なものを持参しました! これ、オペレーター室にお届けしようと思ってました!! どどんっ! ミンスティラリアにやって来てボクに欲情したバルリテロリの先輩! ええと……西野ロリータ先輩から接収した、スカウターです!!」



 ————ロリは現在、深刻な問題なのでヤメてください。

 ————西野バジータです。


 ————そしてスカウティングスキャナーです。スカウターじゃない。



 福田先輩が1秒ほど思考停止したのを確認しました。

 ボクじゃなきゃ見逃しちゃいますね。

 「攻めるか迷うくらいなら盲目的にすぐ攻めろ」は逆神先輩の教えてくださった中でもボクが特に好きな格言です。


 ————多分言ってません。


「福田先輩! 月刊探索員の新年特大号で日本本部のランキングやりたいです! 許可ください! 許可もらえたらスカウターあげます!! これ、ライアン先輩がすっごく高性能だって褒めてました!! サーベイランスの検知能力なんてクソみたいなコーヒーレベルだって!!」


 ————アナログなものほど高性能だったりするのが機械の不思議。電脳のテレホマンが頑張って造ったスカウティングスキャナーは逸品だった。


「……なるほど。お見受けしたところ、まだ要望がおありのご様子ですが?」

「はい! 今後、公式の通信でボクの事はノアちゃん探索員でお願いします!! ノアちゃんの名を公式記録に刻むのです! ……ダメなら仕方ないので、これはルベルバックにいるクララ先輩のところにでも送りますね。しょんぼり」



「承りました。ノアちゃんDランク」


 ————本編時空で福田さんが通信の際にノアちゃん呼びしていたのはここが起点であった。



 福田先輩の全面協力によって、本部に登録されている探索員の数値の比べっこが可能になりました。

 ボク、RPGのステータス画面を眺めて3時間は余裕な子です。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 福田先輩が「極秘」と書かれた端末を持って来てくれました。

 かの高名な福田先輩の極秘。これは興奮します。


 ————本部の情報がノアちゃんに乗っ取られる。


「これは絶対に売れる!! 色々と際どい情報をランキングにできるわね!!」

「むふふー。まずはおっぱいランキングから……って弥生先輩が!!」


「ちょっと!? 言ってませんから!! それは後で秘密裏にって!!」


 福田先輩が無表情で頷きました。

 続けて、なんか端末をペチペチやってモニターに大変な情報を出してくれました。


「……失礼。メガネが曇りました。これは独り言ですが、どうせ無理やり持って行かれるのならば放置するのも同じ。むしろ、ファイアウォールに穴をあけられると困るのですよ。ノアちゃんDランク」


 シミリート先輩にお願いしたハッキングがバレていたようですが、なんか結果オーライです。

 大変セクスィーな情報をゲットしましたので、大きな先輩方にもおすそ分けしておきます。


 ノアちゃんを信仰すればもっと詳細な情報を開示する用意があります。

 ふんすっ。



 おっぱい王者がクララ先輩で、最下位おっぱいが莉子先輩でした。


 ————残念ですがそれはみんな知っています。



 なんだかオーディエンスのノリが良くないですね。

 これが不景気ってヤツなのでしょうか。

 もっと奔放な世の中になるべきだとボクは思います。


「福田先輩! 煌気オーラ総量のランキングはオッケーですか!!」

「お待ちを。……スカウティングスキャナー、確かに高性能ですね。というよりも、本部の規格と別ベクトルから情報を得ているため、我々では確認しえない数値が表れるようです。これは良いものを接収されましたね。ノアちゃんDランク」


「ランクアップですか!!」

「私の一存では何とも。上に報告はしておきましょう」


 これはやったりました。

 サービス先輩を練乳で釣ってスカウター譲ってもらったかいがあるというものです。


 ちなみに煌気オーラ総量ランキングですが、こんな感じです。


 1位小坂莉子。

 2位木原久光。

 3位辻堂甲陽。

 4位水戸信介(おっぱい覚醒)。

 5位雨宮順平。


 これ、年末の定期計測の時のデータです。

 明らかに逆神先輩が手抜きしてます。

 雨宮先輩とか久坂先輩からもサボりの気配がします。


 辻堂先輩のデータは生前のもので(※生きてます)、京華先輩は6位みたいです。

 水戸先輩が仁香先輩と一緒に査定を受けてるっぽいところもポイント高いですね。


「これは表紙に載せときましょ。小坂Aランクの名前載せるだけで盛り上がるのよね。彼女、ビーム撃つってもうみんな知ってるから」

「はい! 福田先輩! ボクも測ってください!! ボクも!! ぜひ!! スカウターの使い方が分からなかったので、実はボク持って来ただけなんです!!」


「承りました。では、煌気オーラを放出してください」

「やったります! ふんすー!!」


 ピピピピと良い感じの音がします。

 これはもう好記録確定の予感しかしません。


 3位くらいに滑り込んじゃうんですね、ノアちゃんの名前が。


「……さて、どうしますか」

「やややっ! 気を遣わなくちゃいけない感じでしたか! 良いんです! 言ったってください!! どの先輩も、ノアちゃんなら仕方ないな! で済ませてくれます!! あ! じゃあ雷門先輩を基準にお願いします!! それならショックも少ないかと!」


 ————この時間軸ではまだ雷門さんは雷門クソさんになっておりません。


「では……。よろしいですね?」

「溜めて来る! 福田先輩が!! 弥生先輩! すみませんが編集長はボクのものになるかもしれませんよ! むふふー!!」



「雷門監察官の182分の1です。全探索員のランキングとして評価するならば、下から数えて101番目です。なお、現在Fランクまでの人員は20895名」

「あ。それ壊れてますね。所詮はバルリテロリとかいうド田舎のおもちゃです。やっぱり本部は南雲先輩のサーベイランスです。ふんっ」


 ————逆神流には「五分五分以下の勝負は避ける」という教えが。

 ————つまり、ノアちゃんは現実と戦わない。



 はい。

 今回はここまでです。


 次のノアちゃん回はチーム莉子のメンバーを水着にしますから。

 2度とこんなステータスランキング企画なんてしません。


 ふんすっ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 管理権限が投げつけられて来ました。


 補足しておくと、ノアちゃんの煌気オーラ総量は初期ロットの山嵐助三郎くんの10分の1程度です。

 ちゃんと計測できてなおかつ弱いというところが芸術点の高さを感じさせる。


 以降、接収したスカウティングスキャナーにより日本本部のオペレーター室の精度がさらに上昇。

 喜三太ランドの捕捉、詳細な動きなどにも対応できるようになった。


 交戦中の限られた通信網で、完全無欠な瑠香にゃんリモートを除くとノアちゃんの穴通信は芽衣ちゃんのスマートフォンと同じでただの音声通信。

 一斉侵攻の時をはるかに凌駕する通信士ムーブをキメていたのはスカウティングスキャナーのおかげだったりする。


 これまでのノアちゃん回で恐らく最も実用的な結果を残したはずなのだが、本人は不満しか残らなかったようであり、その後の孫六ランド戦でも見られたようにさらに前へ前へと危険を顧みず自己アピールを続けるノアちゃんなのである。


 今のところ、「そのブルマ寄越せ」が彼女の超えたくないライン。

 ただし、承認欲求によっては今後ラインが変わって来る可能性もある。


 スキージャンプのK点は天候に合わせてその都度変わる。

 チーム莉子のK点である莉子ちゃんがまず装備をゲットできるか。


 ここが本編の分水嶺になるであろうことは日常回を通して周知しておきたい。

 羞恥だけに。


 「おじさんは思った事を何も考えずに発信するからおじさんなんです。ふんすっ」と酷い言葉をボクッ子に投げつけられましたが、そんな事はない。

 上手い締めは次に繋がる。


 しめしめってね。

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