第514話 【チーム莉子の夏・その4】木原芽衣の異世界で海水浴!! ~クララパイセンと共に! おっぱい警察(莉子刑事)の目を盗んで!!~

 木原芽衣Bランク探索員。

 1つ年を重ねてもみんなの妹、芽衣ちゃまとして未だ圧倒的な人気を誇っている彼女。


 そんな芽衣の通う私立ルルシス学院は本日が終業式。

 高等部に進級してもしっかりと探索員と学業を両立させた文武両道の乙女。


 かつてはそのポジションに君臨していた慎ましい胸が特徴の乙女もいたが、最近あの子は男にハマってしまった。

 「好きな教科はね、歴史と国語だよぉ!」と弾ける笑顔で語っていたあの子。

 今では「好きな教科? えへへへへっ。保健体育っ!!」とさらに笑顔を弾けさせている始末。


 これからは木原芽衣。

 清純派枠は彼女の時代である。


 芽衣ちゃまは高校生になってから成長著しく、去年の水着のサイズが合わなくなったのだとか。

 誰とは言わないが、小学生の頃のスクール水着がまだ着られる乙女もいるので、肉体的な育成も極めて順調である。


 諸君。これ以上はいけない。ここが限界地点だ。


 さて、話を戻そう。

 終業式を終えたお嬢様たちは、教室で夏の予定について語り合っていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「芽衣さんは、この夏どなたとお過ごしになられるの?」

「まあ、芽衣さんはお仕事があるのですから。遊んでいるお暇はないのでは?」


「そんなことはありませんわよ。芽衣さん、お仕事しながら学校生活も手を抜かれませんもの」

「この間の体育祭のご活躍、素晴らしかったですわね。水泳で圧勝の1着でしたわ」


 教室ではいつも芽衣の周りに人だかりができる。

 彼女は目立ちたがるタイプではないのだが、自分を慕ってくれる級友を遠ざけるような無粋な事もしない。


「みみっ。芽衣は泳ぐのが昔から好きだったのです。下手の横好きと言うヤツなのです。みみみっ」


「とんでもありませんわ。芽衣さんの可憐な姿はまるで人魚のようでしたもの」

「ご存じですか? 芽衣さんの麗しい水着姿を見るために、中等部の子たちも来ていたらしいです」


 ちなみに芽衣ちゃまはこの1年で、Bランク探索員からCランク探索員へとレベルアップ。

 どこかのドーピング乙女と違って、純然たる成長。


 諸君。これ以上はいけない。


「みみみっ。実は同じ部隊の先輩とこのあと一緒に泳ぎに行くのです。楽しみなのです。みみっ」


「まあ。芽衣さんの先輩ですの? きっと凛々しくて素敵なお方ですわね」

「ええ。きっと、お姉さまの鑑のような淑女ですわよ」



「……みみっ」


 嘘が付けない芽衣さん。言及を避ける。



 しばらく雑談を続けたのち、「では、芽衣さん。ごきげんよう」「よい夏をお過ごしください」と言って、クラスメイト達は帰って行った。


「みみっ。ごきげんようです。みみみっ」


 ちなみに、「対木原久光監察官用・姪から引き離す装置」こと、福田弘道Aランク探索員が既に稼働しており、現在木原監察官はシベリアでモンスターと戦っております。

 2週間ほど日本にいない予定だとか。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 家に帰ると芽衣はすぐに水着に着替えて、その上に服を着る。

 どこかの恋愛脳さんのように替えの下着を忘れる愚行は犯さない。


 そして一本の電話をかけた。


「みみっ! 師匠! 準備できたです!! お願いするです!!」

『はいはい! 了解! クララ先輩のとこにも出すねー!! ふぅぅんっ!! 『連結ガッチムゲート』!! 遠隔発現!!』


 芽衣ちゃんの下宿先の庭に門が生えて来た。

 優しい老夫婦は「おや。また立派な門が生えて来た」「ええ。立派ですねぇ」と感想を述べる。


「みみっ! おじ様、おば様! 行ってくるです!! みみみぃっ!!」


 こうして芽衣は異世界のプライベートビーチへと転移していくのであった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 ミンスティラリア。

 謁見の間に出て来た芽衣は、既に水着姿で待っていたクララを見つけてはしゃぐ。


「みみみぃ!! クララ先輩、さすがのスタイルです!! すごいボリュームです!! 上も下も大迫力なのですっ!! みみぃっ!!」

「にゃははー! パイセン、最近ちょっと胸が大きくなったぞなー。芽衣ちゃんも立派に成長してるにゃー。さては成長期だにゃー?」



 普段はできない胸部装甲の話をここぞとばかりに堪能する2人。



「うぐぅ。妾も一緒に遊びたかったのじゃあ……」


 ちなみに、ファニコラ大魔王様はこれから旧アトミルカ組が行っている、ミンスティラリア再開発事業の監督をしなければならないので、海水浴には不参加。


 だが、安心してほしい。

 ミンスティラリア回はのちにしっかりとご用意している事をここで名言しておく。


「ファニコラ様!! バニング殿たちがお待ちですぞ!! 山を削っていたところ、新種の鉱石が出て来たとか!! 早く現地へお越しくだされ!!」

「うるさいのじゃ! ダズモンガー!! ふんっ! 行けばいいのじゃろ、行けばぁ!!」


 ファニコラが連行されていった。

 芽衣はクララと一緒に、ミンスティラリアの海へと向かう。


「ほっほー! 貸し切りだぞなー!! これならもう、水着なんて脱いじゃってもいいにゃー!!」

「みみっ!? クララ先輩、それはヤメた方が良いのです!! なんだか、過剰にスタイルの良さを強調すると、危険が危ない予感がするです!! みみみみっ!!」


 今さらだが、芽衣ちゃまの危機管理能力は一級品である。


「そうかにゃー? まあ、小鳩さんが買ってくれた水着も着てあげないともったいないぞなー。なんか布の面積が他のヤツより小さいのに、なんであんなに高いのかにゃー?」

「真っ黒なビキニがセクシーなのです! しかも紐なのです! 紐なのです!! みみっ! 芽衣もクララ先輩みたいなスタイルになりたいのです!!」


「いやいやー! 芽衣ちゃんの黄色のフリフリビキニだって可愛いぞなー! それに、いっぱい食べてゴロゴロしてたら、おっぱいなんて勝手に育つのにゃー!!」

「みみみっ! 太ももとお尻もです?」


「おうともにゃー! 気付いたらいい感じに育ってたにゃー!!」

「すごいのです!! みみぃっ!!」


 現在、この2人は解放感によって普段はできない発言を繰り返しております。

 滅多にない機会ですので、どうか温かい目で見守ってあげてください。


 それから、芽衣とクララは泳いだ。

 運動のできる2人であるため、まずはガチ泳ぎ。


 そののち、浮き輪にお尻をはめてぷかぷかと波に揺られる。

 クララは既に水着がだらしなくなっているが、そこはプライベートビーチ。


 誰も咎めないし、おっぱい警察も熱線を撃ったりしない。


「ふぃー! 気持ちいいぞなー!! ミンスティラリアの良いところは、日差しが強すぎないところだにゃー」

「みみっ! 確か、魔素とリコニウムの影響で大気に薄い膜が張られた状態だったはずです!!」


「莉子ちゃんのパワーはこんなとこにも生きてるのかにゃー。……あっ。ブラが流されたにゃー。これだから紐はー。……まあ、そのうち回収するぞなー。やっぱり何も付けないと楽だにゃー。にゃはははー」

「みみみっ。サービスシーンのはずなのに、全然エッチじゃないところがさすがなのです!! みみみぃ!! とりあえず、触っておくのです!!」


「にゃははー。くすぐったいぞなー」

「みみみっ。これはすごいです。クララ先輩の本気を見たです。手が埋まるです!!」


 その後も心行くまで海で遊んだ2人は、水着のまま魔王城へと戻って行った。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「みみっ! アリナさんです!! アリナさーん!! こんにちはですー!!」

「おお。芽衣ではないか。クララも一緒か。その姿から察するに水遊びか。若いと元気で良いな」


 アリナ・クロイツェルさん、登場。

 六駆くんと莉子ちゃんが定期的にチーム莉子のメンバーを連れて遊びに来ているため、既に乙女たちは顔見知り。


 ちなみにバニング・ミンガイルも居合わせているが、乙女たちの水着姿を見るなり顔を逸らす紳士っぷりを発揮中。


「みみっ! アリナさんだって若いです!! まだ19歳です!!」

「ふふっ。心遣いに感謝する。しかし、水遊びとは興味深いな。妾は未体験なのだ」



「みみぃ! だったら、バニングさんと一緒に海水浴すればいいのです! きっといい思い出になるのです!! みみみっ!!」

「ごふっ!! め、芽衣!? 私がアリナ様と……!? お、恐れ多いことを言わんでくれ。ああ、寿命が縮まった思いだ。また死んでしまうところだったぞ」



 それからシャワーで体を洗い、「また来るです!」「また来るにゃー!!」と言って、2人は現世へと帰って行った。

 ちなみに、先ほど芽衣ちゃまが口にした不用意な発言はアリナさんのハートに火を点けることになるのだが、それはもう少しだけ先のお話。

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