異世界転生6周した僕にダンジョン攻略は生ぬるい ~異世界で千のスキルをマスターした男、もう疲れたので現代でお金貯めて隠居したい~
第246話 塚地小鳩VS外崎Aランク探索員 ひっそり這い寄る芽衣ちゃんを添えて
第246話 塚地小鳩VS外崎Aランク探索員 ひっそり這い寄る芽衣ちゃんを添えて
小鳩は『
だが、外崎も言ったように小鳩は近距離戦でこそ光る探索員。
中距離になった時点で攻撃方法が『
この攻撃手段も悪くはない。
自在に展開させる事のできる『
初見であれば見極めるのに相当な苦労と時間を要するだろう。
そう、初見であれば。
小鳩がこの戦い方をするのは対抗戦で2度目。
楠木監察官室のメンバーは事前リサーチを綿密に行う。
普段から機密性の高い任務に従事している彼らにとって、作戦概要の精査はお手の物。
「くぅぅっ! なんと言う素早さですの!? お排泄物のような目が背中にも付いているようですわ! そうやって普段からいやらしい目で女子を見ているのですわね!!」
小鳩の攻撃は外崎にことごとく躱されていた。
だが、外崎も苦戦している。
「ヤメてくれ! 妻子がいるんだ!! すごいな、南雲監察官室! トリッキーだと事前に分かっていたが、スキル攻撃と同時に社会的な攻撃までしてくるなんて! とんでもない集団だ!! 南雲監察官、あなたはそうまでして勝ちたいのか!?」
あらぬ誤解を発信され続ける外崎。
彼は彼で「これ以上塚地さんとの戦いが長引けば、妻に誤解され、娘に嫌われる!!」と、勝負を焦る理由があった。
外崎は武器を取り出した。
それは
彼はその扱いにおいて、部隊で1番を自負している。
「まずは武器を奪わせてもらう! 『
「また蛇ですの!? わたくし、対抗戦で蛇の事が嫌いになりそうですわ!! こんなもの!! 『
外崎の『
その分
「やっ、やってしまいましたわ……! 槍が……!!」
「悪いけど、これで君は防御手段を失った!」
「お、お排泄物!! それで、わたくしにどんないやらしい攻撃をするもりですの!? 緊縛! 緊縛プレイですわね!?」
「よし子ぉぉ! 愛してるぞぉ!! ホントにこの子、アレなんだ! よし子ぉぉぉ!!!」
小鳩と外崎の戦いはクライマックスを迎えていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『塚地Aランク探索員、これは大ピンチー!! 彼女の代名詞である槍を場外に弾き飛ばされてしまいましたぁ! えー、念のために解説しておきますと、準決勝のバトルロイヤルは1度場外に落ちたものは、それが武器でも拾う事が許されません! つまり、塚地Aランク探索員! 大ピンチだぁー!!』
『外崎は地味だが堅実な戦い方をする。先ほど、小坂を無理して追わなかったのも正解だ。2対1からタイマン勝負に相手が持ちかけてくれるならば、そちらの方がずっと良い。ふむ。うちに欲しいな』
『攻撃スキルにも無駄がありませんね。塚地さんは得意の『
五楼と雷門の評価が高い外崎。
そのまま楠木監察官の探索員育成方法へと話は続いて行く。
楠木は自主性を重んじる方針で、教えを乞われた時にのみ助言をする。
放任主義とは違い、与えられる助言は適切で丁寧。
探索員の得意不得意、長所と短所を見極めているがゆえにできる指導方法である。
『少しずつ劣勢の色が濃くなっていく塚地Aランク探索員! 絶体絶命かぁー!?』
そこに迫っている影については、実況の日引も解説の両監察官も言及しない。
放送によって片方の陣営に有利な状況を作るのはマナー違反。
だが、着実にその影は小鳩と外崎の戦いに割って入る機を探っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「……みみっ」
芽衣の残った
元から
だが、木原芽衣は自分の無計画な戦い方を反省する事が出来る乙女。
失敗と向き合うのにはそれなりのエネルギーが求められ、それが直近のものならばひとしおである。
にも関わらず、芽衣は「自分にできる最後のワンプレー」を計算していた。
「……っ! なるほどですわ!! 『
小鳩は視界の端に芽衣を捉えた。
彼女とはまだ、わずか数週間の付き合い。
だが、彼女を信頼するのにはそれだけの時間があれば充分であった。
小鳩は『
「そんな使い方もあるのか! だけど、今さら足場を安定させたからと言って!!」
「ええ! わたくしに出来るのは、もうこの程度ですわ! ですが、あなたを落とせるのではあれば悪くない手でしてよ!!」
「どうやって落とすんだ!? 君はもう、槍を持たない! さらに衛星を全て足場に使ってしまっていては、スキルも満足に使えどぅふっ!?」
塚地小鳩、腰を落とした良いタックルであった。
先ほど六駆がやったように、相手に攻撃する手段は別にスキルでなくとも良い。
もちろん、虚を突かれた外崎は動きを封じられたが、それだけでは彼を攻略できない。
小鳩の役割は、外崎の動きを止める事。
あとは彼女の出番である。
「木原さん! わたくしごとやってくださいまし!! 遠慮は無用! 最大出力でお願いしますわ!!」
「ほがっ、なにぃ!? 木原さん!? いつからそこに!?」
「ずっといらっしゃいましたわよ?
芽衣は静かに右手の残った
続けて、小鳩の作った『
「みみみみっ!! 行くです!! 『
「どぅおっふぅっ!!!」
「お見事ですわ! 木原さん!! あと、外崎さん越しでも割と痛いですわね……」
芽衣の残った
2人は場外に吹き飛ばされる。
「みみみっ! これで芽衣も
そう言うと、芽衣は自分から武舞台を降りた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『これは奇策が炸裂したぁ! 塚地Aランク探索員、なんと自分ごと仲間の木原Cランク探索員のスキルで場外落ちを選ぶー!! さらに、木原Cランク探索員も
『思い切りの良い作戦だったな。塚地と木原の意思疎通が潤滑でなければ決まらなかっただろう。1人落とすのに2人かけたのは数字で見れば愚策だが、既に戦力ではなかった木原が1人落としたことに意味がある』
『す、素晴らしい、友情でした! ウ、ウウ、ウグッブーン! ゴノ、ごの世には、まだまだ綺麗な友情がァァァ、ブッヒィフエエエーーーーンン!! 世の! 中ガッハッハアン!! ア゛ーー世の中はまだ、捨てたものじゃないデーーヒィッフウ!!』
『はい。雷門監察官、ありがとうございました! さあ、いよいよ佳境に差し掛かって来たかぁ! 準決勝第2試合ぃ!!』
『日引。貴様の司会進行能力、すごいな……。私ですらちょっと引くぞ……』
数字の上では劣勢のチーム莉子。
だが、残っているメンツが非常に濃い。
次の一手はどう出るのか。
チェックメイトは目前まで迫っている。
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