獣人とお伽噺
第91話 獣人とお伽噺 ①
「よし! そうしよう」
「よし! じゃないわよ。あんたはまったく、次から次へと⋯⋯」
唐突に言い放つキルロを睨みつけ、呆れて見せるハルの姿。いつもの【スミテマアルバレギオ】の姿だ。
【果樹の森】でうな垂れる100名程の
なんでこう、こいつは!!
怒りというより諦めに近い苛立ち。ただ、キルロの言葉が正しい事も理解出来、悶々と悶絶を繰り返すだけだった。
キルロの
傘下に治めた世界最大の
いきなり言われた
また始まった。
エレナといい、先日の
結果が出ているから、文句は言え無いけどさ。何でもかんでも抱え込めばいいってもんじゃないでしょう。振り回されるこっちの身にもなってみろ。
盛大に肩を落とすハルの横で、ネインがキルロを見つめながら口を開いた。
「ヴィトリアの
「何呑気な事言っているのよ。あんなの考えなしに言っているだけに決まっているじゃない」
「そうなのですか!? ただ、
そうなのだけれど。別に反対する気も無いし、
「オレ、ちょっと
飄々と言い放つキルロをハルはキッと睨みつける。
「ネイン! あなたもついて行きなさい。こいつだけじゃ心配しか無い」
「承知致しました」
ネインは表情も変えず、ハルに一礼して見せると隣にいたユラも手を挙げた。
「オレも行く! また美味いもん食えるんだろう」
「何だよそれ⋯⋯ってドワーフか⋯⋯。ユラ、家造り得意か?」
キルロは一瞬呆れてみせたが、手先の器用なドワーフ。居住区の建設の際力になるのでは? と考える。
「おいおい。こっちはドワーフだぞ。そんなもん得意に決まってんだろう。ヌシは何言ってんだ、まったく」
「んぐっ」
絶句するキルロに今度はユラが呆れて見せた。
何にせよ、彼らが無事に安住の地を得てくれればそれでいい。
ハルはやり取りを見つめながら、盛大に溜め息をついた。
◇◇◇◇
『『『
お昼を食べながら、いつものように無事帰還したハルさんの
ただ、みんなはハルさんの第一声に絶句して食べる手が止まってしまいます。
何がそんなにびっくりなのでしょう?
確かに街中で
「フフ。ハルさんはみんなをびっくりさせるのが得意なのですね」
「別に得意じゃないし。みんなが勝手にびっくりしているだけよ」
何故かハルさんは少しむくれていました。まるで自分のせいでは無いと言いたげです。
「というか、なんでエレナはびっくりしないんだ?
「そうそう」
「??」
私が首を傾げて見せると、今度はみんなが私にびっくりしていました。
「あ! エレナ、学校行っていないから、
「お伽噺?」
フィリシアは私の肩に手を置き、何度も大きく頷いて見せます。
モモさんはニッコリと笑顔で私に教えてくれました。
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