第2話 動物愛護活動

 と、まあ、再び、それはさておき、後輩がどうやって見つけてきたかは忘れたが、阪大生がシェアハウスやっていて、リビングで飲み会やっているから行きませんかと誘われた。私は「そんなのいいよ。大学生と飲んで何がおもしろいんだよ」と最初断っていたのだが、「いいじゃないですか。試しにきてみたら」と再度誘われたので飲みに行った。


 すると、大学生でも文学部の哲学科の連中で、良い会社入ってどうこうというわけではなく、むしろ反体制派が集まっていた。リーダーは「これからの世界は、何でもシェアしなくちゃいけないんですよ」などと言う。まー、そりゃそうやけどなあ。


 同時に私は、かねてから気になっていた動物愛護活動にも足を踏み入れることにした。私は、健康からヴィーガンに入ったが、動物愛護から入る人も多い。生きたままがれる毛皮反対、生きたまま熱湯に入れられる韓国の犬猫食反対、方向転換取れない檻の中でお母さん豚を育てるな、オス豚の睾丸を麻酔なしで切るな、失神するほど熱い焼きごてで牛の角の焼き切るな、一生つないだままで牛を育てるな、ニワトリを生きたまま熱湯につけるな、売れ残りのペットをガス殺するな等々。


 私は、NPO法人のアニマル・ライツ・センターのホームページを読むことから始めたが、怒りで頭の血が沸騰した。そして、SNSを通じて知った団体が主催するデモ行進に参加するようになった。


 デモ行進のほとんどは女性である。どうして女性の方が動物愛護に多いのかは私には分からないが、とにかく多い。京都でのデモのあと、みんなでヴィーガン・レストランに行った。私の横に座っていた女性は、それまでサングラスをしていたので分からなかったのだが、私が大好きな女優に似ていた。


 帰り道が同じだったので、電車の中で話していると彼女は昔ヨガをやっており、今はクリシュナ意識国際協会に通っていると言った。この協会は、略称イスコンと呼ばれインド人のアバイ・チャラナラヴィンダ・バクティヴェーダンタ・スワミ・プラブパーダが世界布教のために立ち上げた歴史の新しい宗教団体で、「ハレー・ハレー・ハレークリシュナー」とマントラを唱える。


 電車の中で、彼女はさっそく私に勧誘をかけてきた。実に魅力的な話しぶりだったが、ただ協会の教義があまりにも厳しく、私には絶対無理だと思った。しかし、彼女は数日後にランチをしないかというので、同意した。JR新大阪の駅に着いてホームの階段をあがっていたとき、彼女の背景に赤と青と金のラメの粒子が混ざり合って流れていくのが見えた。あれは、私の感性だったのか、幻覚だったのか、それとも奇跡だったのか。


 私は、ランチを楽しみに待った。そして、その日手作りのヴィーガン弁当を持って行き公園で食べて話した。彼女は、「この動物愛護にかかわる人たちの心の闇は深いね」と言った。私は、彼女の肩を揉んであげた。私は、マッサージに行くと、ここまでこっている人は初めてだと言われることもあり、ツボを心得ているのである。彼女にもすっきりしたと言われた。問題は、そのあとだった。

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