問題小説 最後の入院にしたい(-_-;)in 2016

加福 博

第1話 韓国エステ嬢

 時は、2016年にさかのぼる。まず、私は患っている躁うつ病の薬を正月に止めた。こんなもん飲んでるから、体がダルイんじゃという訳。そして、体内に残っている薬を排出すべく半日断食しながら完全菜食主義者、すなわちヴィーガンになった。これは、以前西式甲田療法を提唱する医学博士甲田光雄医師の「奇跡が起こる半日断食」を読んでおり、断食と野菜食がデトックスに良いと知っていたから。


 数日後に、悩んでいた勃起不全が治った。これは実に喜ばしいことであった。仕事の帰りに貯金していたカネをもって、すぐに、韓国エステに行った。まずシャワーを浴びてマッサージをしてくれて、最後に手でサービスをしてくれる。料金は、一時間1万円でコスパが高い。何しろ他の風俗とは違って病気を移される心配がないというのが良い。性欲の高まり。早くも軽躁が始まっていた。


 その後、前に付き合っていた女とよりを戻した。アパートに来てもらって私がヴィーガン料理を作り、二人で食べて彼女が洗い物をした。しかし、どうも彼女とのセックスだけでは、物足りなかった。それで、また韓国エステに行った。お目当てのエステ嬢は、整形しているかどうか不明だが美人だった。


 それはさておき、この数日前に熊本地震があった。また、エステに行って、マッサージをしてもらっているときに、ご両親から大阪は大丈夫なのかというメールが彼女にあったという。それで、私が大阪は津波が起こるので、ビルの三階以上に避難しないといけない、第一波をやりすごしてもより高い第二波がくる可能性が高いので、30分は待機しなければならないと教えてあげた。


 すると彼女は、なんだ私のマンションは17階だから大丈夫と言った。いや単に津波だけではなく地震に対する備蓄も必要なんだ、飲料水、カップ麺、カロリーの高いチョコレート、緊張を和らげるウィスキー、もうマッサージええからちょっとスマホ見せてみ。


 そう言って彼女のスマホから大阪の地震対策のページを検索し、一緒に読んだ。彼女は、日本語がよくできて「枚方」を「ひらかた」と読めた。すごいね、ひらかたって読めるんだね、と彼女をほめても得意気になることはなかった。しかし、彼女は地震のことを教えてあげたことをとても喜んだ。その日、彼女は、私の帰りに店の入り口を出てママと一緒に笑顔で手を振った。


 数日後、私は趣味でやっていた自然農の畑に行った帰りにまた、店に寄り彼女を指名した。すると、彼女は私に「お兄さん、結婚してないの?」と聞いた。私は「彼女はいるよ。でも来ます」と言ったら、呆れていた。これは、最近心理カウンセラーの人から聞いた話なのだが、女性というものは風俗に行く男性がことのほか嫌いらしい。彼女にも同じ心理が働いたのだろうか。ま、お店にはその後行ってません。というのも、脱税を摘発されてつぶれちゃったから。

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