第31話 地下へ
イヰリャヌートの洞窟、いや、地下都市への移動は完璧であった。
水も空気も確保されている。
この洞窟への入口には、途轍もない圧力で固められた数百メートルの厚さを持つ大磐で幾重にも塞がれた(いゐりゃぬ神の神威なくして、どうしてできようか)。
しかも、洞窟そのものの周囲は強固な岩盤である。
ここが水などの浸蝕でできたものではないことは晰らかであった。
夏涼しく、冬暖かい。常に空気が新鮮できよらさやか、地下水流や湖の水も麗しく潤い、うまい。
食料の備蓄は、大量の塩で漬けられたものもあるが、乾燥したものが中心で、たっぷりあった。
家畜の飼育スペースも広大で、乾燥したトウモロコシが大量に飼料としてある。
薪は見上げるほど積まれ。、燃料も何十万バレルもあった。
五千人が数年暮らすに充分である。
イシュタルーナはこの都市をアビスと名づけた。
長老のアビスの名に因んだのだ。
「イシュタルーナ様、ご安心ください。我らのことはご心配なさらずに」
イシュタルーナは強く頷く。
「心のままに。
他に何もない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます