第526話 たのもーっ

 このギルドという職業は特殊で知識があれば成れる訳でも無く冒険者としての経験が長くても実力が無ければ成れない職業である為かよっぽどの事がない限り除名される事は無い。


 滅多に除名されない為ギルド職員をセーフティーネットとして在籍して好きな事を仕事にするという者も多い。


 そして給料も当然高い為人気の職業の一つでもある。


 当然元ギルド職員とは言っても除名されている訳ではない為キンバリーは離れてから今まで仕事内容に変更箇所がないかの確認はしておくに越した事は無いだろう。


「たのもーっ」

「お久しぶりです」


 ちなみターニャの実家は宿屋兼食事処の為ギルド職員との繋がりがありターニャと顔見知りも多い。


「何だ何だ? 誰かと思ったら珍しい顔が二つもあるじゃぁねぇか」

「そうでしょうそうでしょう。これ程までに美人が二人も来るなんて珍しいっしょ」

「相変わらずだなオメーは」

「お陰様で」

「ターニャも元気だったか?」

「むしろ幸せ過ぎてどうにかなっちゃいそうでしたね」

「そうかそうか。そいつは良かったな」


 そして私達二人をいつもの雰囲気でギルドリーダーのベルクさんが出迎えてくれる。


 今年で七十歳というのにまだまだ元気いっぱいの姿を見て一応は一安心である。


 ちなみにリーダーと肩書きはあるがこのギルドのトップではなく上から三番目の役職であり、上にはギルドマスター、副ギルドマスターが存在しているが現場を指揮するのはギルドリーダーである。


 とは言ってもこのベルクさんは元ギルド長であり年齢を理由に六十五の時に自らギルドリーダーへと志願した過去を持つのだが。


「それはそうと私がギルド職員を離れてから仕事内容で何か変わった箇所とか無いっすか?」

「そうだな、変更箇所といえば冒険者ランクの基準がかなりシビアになったのとそれに伴い現冒険者のランクを新しく作り変えられた基準に伴い変更。そして当然クエストの基準ランクもクリア報酬はそのままで大幅に下げられたぐらいだろうか? 変わった箇所と言えばそれぐらいだな」

「うへー、想像しただけで高ランク冒険者達からのクレーム処理が大変そうっすね」



 ギルドリーダーの懐かしい雰囲気を感じながら雑談しつつギルドの仕事内容の変更箇所を聞いてみる。

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