第494話攻撃も得意でしてよ? わたくし
「ば、バカな……貴重なミスリルの弓と魔杖、そして選りすぐられた精鋭達から放たれた無数の攻撃を防いだ……だと」
「これで選りすぐられた精鋭達……武器も精鋭達も低レベル過ぎるのではなくて?」
その光景が信じられないのかハイエルフの王は呆けた表情でわたくしを眺めていたのだが、寧ろ驚いたのはこちらも同じである。
彼らの出す雰囲気から強いとまでは思っていなくとも、腐ってもハイエルフ達である。
そのハイエルフを集めてまさかここまで弱いとは思いもしなかった。
「しかし、防いだだけではなくて攻撃も得意でしてよ? わたくし」
そう言うとわたくしは身体強化の魔術とスキル、更に能力上昇率向上魔術とスキルを自身に付与すると一気に通路右手側のハイエルフの精鋭達とやらへと駆け出す。
「ハッ!」
わたくしの攻撃時の掛け声と同時に鎧を装備しているハイエルフの精鋭達が吹き飛んでいく姿が見える。
その者達が地面に落ちる前に次のターゲットへと駆け出し、脚や拳を使い攻撃を繰り出して行く。
「どうなっているんだっ!?」
謁見の間を縦横無尽に駆け回り自慢のハイエルフの騎士達をまるで飴に群がろうとする蟻を払い除けるかの如く蹴散らして行くその姿は、ハイエルフやエルフと言った魔術に長ける種族の戦い方ではなく接近戦、特に打撃を得意とする獣人の戦い方と言われた方がまだしっくり来るであろう。
しかし、獣人の猛者とも幾度となく戦って来たハイエルフの王は獣人と目の前で猛威を振るっているわたくしとの差に気付いたのか王という自身の立場も忘れ悔しげな表情で喚く様に声を荒げ唾を飛ばす。
「物理特化の魔術師が我の騎士達を圧倒出来る筈がない! あってはならないのだっ!!」
彼がそう叫ぶ様に本来であればハイエルフまたはエルフが物理系の何かを極める事は、例えそれが物理系魔術であったとしてもまず大成しない事は常識であり、そんなものを覚え鍛錬する時間は無駄でありその者は蔑まれる存在であるというのが当たり前なのである。
そもそもエルフという種族故に筋力は平気して弱くさらに持久力を上げる筋肉はつくものの瞬間的な力を発揮する筋肉が付きにくい性質を持つ代わりに扱える魔力量が魔族に次いで膨大であり人間ほどでは無いものの空気中のマナも魔力として扱う事が出来、魔術を扱う能力も高いいわゆる魔術特化型の種族と言えよう。
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