第493話一人の美しいハイエルフ
ここでわたくしは一度言葉を止めるとハイエルフの王をこれでもかと見下し蔑み、まるで気持ちの悪い虫を見るかの如く嫌悪し、怒りを乗せ仰々しい態度を持って睨みつける。
「わたくしの足の指先程度ならば舐めさせてやっても良くってよ?」
「吐いた唾は飲み込めんぞ小娘っ!! 貴様ら、この者達を捕らえよっ!! 死ななければ腕の一本や二本無くなっても構わん。 兎に角生け捕りにしろっ!!」
そしてわたくしの言葉が終わると同時にハイエルフの王は唾を飛ばしその整った顔を赤面しながらわたくし達を捕らえる様に、周りにいるハイエルフ達に命令を飛ばす。
その号令と共に弓矢を構える者、魔杖を一斉に構えわたくしに狙いを定め射撃および攻撃魔法を撃ってくる。
「今からでも遅くないっ! は、早く謝るんだっ!!」
「王を罵倒するとか馬鹿じゃないの馬鹿じゃないの馬鹿じゃないのっ!!」
「ひぃいっ」
そしてわたくしの周りにいるエルフ達三人は頭を抱えてしゃがむと、ハイエルフ糞ギルドマスターとマールはこちらへ無数に飛んでくる攻撃の原因であるわたくしに抗議及び罵倒し、エリは小さく悲鳴を上げる。
しかし、いくら待てども飛んで来るはずの弓矢や攻撃魔法が当たる気配すら見せず恐る恐るといった感じで三人はゆっくりと顔を上げて辺りを見渡す。
そこには飛んで来る弓矢と攻撃魔法、その全てを己の拳で撃ち落としていく一人の美しいハイエルフの姿が目に入った。
「全く、とんだお荷物ですわね。 貴方達、死にたくなければわたくしのお姉ちゃんの所で一ヶ所に固まってなさい」
その三人にわたくしは、わたくしと同じハイエルフもしくはエルフだと言うのにこの体たらくぶりに「情けない」と思い無意識にため息を吐いてしまう。
お姉ちゃんはもちろん特別枠なので寧ろ守らせて感謝の言葉が出てしまうくらいが丁度いいであろう。
「なっ……」
「信じられない……」
「綺麗……」
そんなわたくしの姿にハイエルフ糞ギルドマスターとエリは信じられない光景を目にしたかの様に驚き、エリは当たり前の感想を口にしていた。
わたくしが美しい事は今更なのですがエリには後でお菓子でもあげて差し上げましょう。
そして気が付けば周りは騒然としだし、いつのまにか攻撃は止んでいた。
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