第491話懐かしさに浸る余裕すら無い
▲▲すみません、昨日更新内容に誤りがございました為、削除の上本日は二話更新致します。
「………」
「………」
その声の主はフィフィーお姉ちゃんでありマールとエリを半ば強引に握手させる。
ダークエルフというだけで敵意を滲ませ睨みつけるマールなのだがフィフィーお姉ちゃんのオーラに畏怖したのか渋々エリと握手をする。
そのお姉ちゃんをわたくしはお姉ちゃんに怒られた懐かしくも大切な思い出を思い出ししみじみと追憶に浸っていた。
怒っている時ほどお姉ちゃんの笑顔が輝き出すあの不思議で懐かしい日々を。
そもそも保有魔力量が桁外れなお姉ちゃんが振りまく怒りのオーラだけでドラゴンも逃げ出しそうな程なのだが。
「ところでマリアンヌ……」
「な、何んですの? お姉ちゃん」
その懐かしき思い出が今実際にわたくしを押し始めているのは何故だろうと思う。
この、笑顔なのに笑顔じゃない違和感に思い出になりかけていた恐怖が今わたくしを襲い始める。
その懐かしき恐怖とシチュエーションに、懐かしさに浸る余裕すら無い。
「せっかくだからマリアンヌにもお説教ですっ!!」
「わ、わたくしは何も怒られる様な事はしてませんわ……」
「言葉遣い……聞いてないとでも思ったの?」
「あれは、わたくしは何も悪くありませんわ。むしろギルドマスターが悪いのであって仕方のない事ですわっ」
「仕方がないとマリアンヌは女性である事を捨てるんだ……へーぇ」
「そ、それは……そのーぉ……ごめんなさい」
屁理屈であると分かっていてもとりあえずは抗ってみるものの、未だに口ではお姉ちゃんに勝てないと悟り早々に白旗を上げ謝る事にする。
そもそもどちらが悪いか決まってる時点でお姉ちゃんが話の芯をブレさせない限りわたくしには逃げ道など無いのである。
それからわたくしは王の謁見の時までこんこんとお姉ちゃんに淑女とはなんぞやとこってり絞られた。
◇◆◆◇
「王との謁見の準備が終わった。 私について来るように」
あれから小一時間、部屋の扉がノックされると白い鎧を着た美しいハイエルフの女性が王との謁見の準備が終わった事を告げに来るとすぐさま踵を返してついて来るように言う。
ついていった先には二百名近い、呼びに来たハイエルフの女性が着ていた鎧と同じ物を装備しているハイエルフの男女が真ん中に敷かれた赤い絨毯を挟む形で左右一列に並び整列していた。
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