第486話わたくしのお姉ちゃん
代わりにわたくしの主人、至高のお方であるクロ・フリート様、今や数多の国に轟きつつあるその名前を教えて要らぬ面倒事をクロ様にかけてしまわない様に名前こそ明かさないもののその種族を口にする事にする。
「誰だと言われてはいそうですかと言ってしまう馬鹿はここにはいませんわ。 でも、そうね。 わたくしの主人は魔族でありわたくしの主人でご主人様で愛しいお方ですわ」
それに、こんな奴らにクロ様の名前を言ってしまうのは何故だかとても嫌な感じがした。
そしてわたくしの言葉を聞き終え、ハイエルフギルドマスターは目を見開き眉を釣り上げる。
その表情はまさに鬼の顔そのものである。
「貴様っ!! ハイエルフともあろう者がなんたる愚かさよっ!! 醜く汚いダークエルフでもあるまいに魔族となぞ恥を知れいっ!!」
「おい貴様、今なんつった?」
「なっ、なんと汚い言葉使いっ!! 貴様はもうこの地上には出れないと知──」
「ダークエルフを、わたくしのお姉ちゃんをバカにしやがってタダで済むと思うんじゃねぇぞこの糞虫風情がっ!!」
マリアンヌはキレる。
それはもう烈火の如くキレる。
クロ様の場合守るよりも守られたいという願望がマリアンヌの堪忍袋の緒は切れどもここまでブチギレさせる事は無かったであろう。
それはある種の信頼とも言える。
クロ様ならば寧ろわたくしがとやかく言う必要も無く飛びかかる火の粉を振り払うであろうと。
しかし。
お姉ちゃんは違う。
ハイダークエルフのお姉ちゃんはその種族に裏切らない程の魔力量を誇っておりその姿はまさに傾国の美女と言える程の美しさを宿している。
セラやウィンディーネ、イルミナなどと言ったクロ様の妃にもっとも近いとされるクロ様の家臣の中でその美しさはお世辞抜きで頭一つ抜きん出ていると思える程である。
そんなお姉ちゃんだか唯一にして最大の欠点があった。
それは魔力操作が驚く程苦手なのである。
あの凄まじい魔力量を誇りながら時に暴発、時に不発とまさに宝の持ち腐れである。
そしてたんに宝の持ち腐れならまだ良かったのだが魔力量が魔力量の為失敗はそのまま辺りをめちゃくちゃにする魔力の濁流が吹き出してしまうのである。
そんなお姉ちゃん故に、お姉ちゃんは魔術を使わなくなった。
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