第485話ほんと、良い度胸ですわね
「………」
「分かったならさっさと国王様の元へ行くグボヘァッ!?」
既に堪忍袋の緒が切れた状態ですので思わず手が出てしまうのは仕方ないかと存じます。
それにどう考えてもこの糞ギルドマスターが悪いのは自明の理。
殴られて当然でしょう。
「誰がっ! 会ったことすら無いどこの馬の骨かもわからない男性の子供を身籠もらなければいけないんですのっ!? 巫山戯るのも大概に致しなさいっ!! 今まで同種のよしみで我慢して来ましたが貴方達はあんまりにも失礼に過ぎますっ!! そもそもっ!! わたくしは貴方方のお名前すら知らないんですのよっ!! 名乗りもせず自分の要件だけ聞けと言うのはやってる事は盗賊と何が違うと言うのですかっ!?」
「なっ、……た、確かに多少強引な所があった事は認め謝罪しよう。 しかし、好き勝手に言わせておけば盗賊と表現するとはいくらハイエルフとはいえ言っていい事と悪いことがあろう。 ハイエルフ故に殺しはしないがハイエルフ故に悠久の時を牢屋の中で過ごす事になっても良いのか? 嫌なら先程の言葉を謝罪して取り消せ」
しかしわたくしが切れたのと同じ様に、わたくしも相手の堪忍袋をぶち切った様で相手もまたその怒りを露わにする。
殴られた頬をさすりながら。
しかしだからと言ってわたくしの言葉を撤回するつもりなど微塵も無い。
当たり前である。
それだけの事を目の前のハイエルフギルドマスターは言ってのけたのである。
にも関わらず逆ギレとは良い度胸だ。
むしろ謝るどころかしばきまわしてこの街中をそこに暮らす人々に見せ付ける様にして馬で引きずりボロ雑巾の様に捨て置いてやっても良いぐらいである。
「ほう……わたくしの言葉を取り消せと。 ほうほう。 とんだ良いい草ですわね。そもそもわたくしのこの身体、心、その他全ては至高のおかたである主人の物。 それを知らなかったとは言え身籠もれと申したそちらの非こそあれわたくしに謝罪と言葉の撤回を求めて来るとは……ほんと、良い度胸ですわね」
「………その主人とは誰だ?」
そんなわたくしの怒気に、逆に冷静さを取り戻したのは悠久の時を生きるハイエルフ故か。
その姿に賞賛の言葉の一つでも送ってやらん事もないと思いはするもの口にはしない。
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