第482話さて、ひと狩り行きますわよ。

 そして目の前のエルフ受付嬢は一気に捲し立てると「はあはあ」と息を荒立てながら睨みつけてくる。


 その光景すら腹立たしく思うのだが、そのエルフ受付嬢を見てエルフ金魚の糞は「もっと言ってやって下さい」と言いたげにうんうんと頷いている光景に更にわたくしを苛立たせる。


「この国にエルフもハイエルフも少ないことは分かりましたわ。しかしながら「何をしている」と問われましてもその「何」とは冒険者ですわ。見て分からないのかしら」


 そして先ほどのエルフ受付嬢の問いに答えてやるのだが、すこし意地悪な内容になってしまうのは仕方ないことであろう。


 そもそもわたくしが王族と無関係でありながらその事を確認しなかったエルフ受付嬢も、そしてわたくしの横でヘイト値を稼ぐエルフ金魚の糞も、その両方が悪いのです。


「だからっ! 何でっ! 冒険者なんかやってるんですかって聴いてるんですよぉぉおっ!!」

「あぁもういきなり大声で叫びなさんな。ビックリするでしょう。それに他の利用者や職員達の迷惑になるとお分かりにならないんですの?」

「わ・か・り・ま・し・た。あなたの事はよーぉおおおおくっ、分かりました。ええ分かりましたとも。 そこでじっとしてなさい!! 今同じハイエルフであり王族の血縁者であるギルド長を呼んできますのそのでかい顔をしてられるのも今のうちですからね!!」


 そういうとエルフ受付嬢はくるりと向きを変え(回転式の椅子らしい)ギルドの奥の方へとズンズンと大股で消えて行く。


 まったく、何を分かったというのか。クロ様でしたらわたくしの隅々まで分かって頂くこともやぶさかでは無い、いや…むしろ隅々まで知ってほしいのだが小娘ごときにわたくし何を分かったいうのですか。


「ちょっとそこの受付さん」

「は、ハイっ!!」

「この【緑竜・亜種】の討伐依頼を受けたいのですけど、当然受理してくれますわよね?」

「は、ははっ、ハイっ!! ど、どどどど、どうぞ!!」


 そして私は受付カウンターにある依頼ファイルを手に取り、適当に暇つぶしできそうな依頼を見繕うと今まで野次馬とかしていた隣の席の人族、恐らく普通の人間種であろう受付嬢に依頼の受理うをしてもらう。


 さて、ひと狩り行きますわよ。




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