第483話金魚の糞は切れなかったみたいである
「さぁ、ギルド長も言ってやって下さいこのハイエルフに!! って、いねぇぇっぇええええええっ!!!!」
そんな声がちょうどギルドから出たときに聞こえた気がしたのだがきっと気のせいだとわたくしは思う。
「待って下さいよぅ!だからマリアンヌ様歩くの早すぎなんですってば」
「チッ」
金魚の糞は切れなかったみたいである。
◇◆◆◇
「目標補足……呑気なものですわ。 このわたくしに狙われているとも知らずに呑気に惰眠を貪っているなんて、飼いならされたペットじゃ無いのですから弱肉強食の世界で生きているとはとても思えませんわね」
「あ、当たり前でしょう……っ、緑亜竜は実際この森のカースト内のトップに君臨……しているんですから……」
私の先役五キロ地点、少し小高い丘の頂上、そこに生えている木に登り目標である緑亜竜を見付ける事が出来た。
しかしその緑亜竜は隠れる事もせず寧ろ周りを掘り起こしクレーター状の巣を作っており、そこだけ樹木が薙ぎ倒されている為見つける事は予想以上に簡単であった。
その怠惰とも取れる緑亜竜に少なからず苛立ちを覚え独り言ちる。
そんなわたくしの独り言に息も絶え絶えながらも何とか呼吸を整えつつ返答が返って来る。
「………エルフ受け嬢が仕事をほぽって何でこんな所にいるのですか?」
「あ・な・た・が! ギルド長が来るまで待ってなさいと言ったにも関わらずギルドを出て行ったから目撃情報を元に此処まで貴女を追いかけて来たんでしょうがっ!!」
そんなエルフ受け嬢に仕事はどうしたと聞くとまるでわたくしが悪いみたいな言い方をされてしまう。
そして叫び過ぎて息を乱しているのかせっかく整い出した息も絶え絶えに、顔も真っ赤である。
ちなみエルフ金魚の糞は木にもたりながら座り呼吸するのがやっとといった感じである。
寧ろここまでくれば金魚の糞も金魚の糞なりに頑張ったと賞賛の言葉をかけてあげても良いぐらいである。
しかし、このままでは金魚の糞は兎も角エルフ受け嬢の方は面倒くさそうなのでここで自分は王族やその血族とは無関係であると示してギルド長云々とかいう面倒臭そうなフラグを折っておく事にする。
「とは言われましても、わたくしは王族やその血縁者ではないので普通のBランクの一般冒険者ですわ。ですのでわたくしの事はほっといてくださいまし」
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