第453話あのパーティーしかいない

 しかも身体能力向上系スキルとその能力を底上げするスキルの重ねがけである。


 まだ攻撃系スキルならば何とかなったのかもしらないが現時点で若干押されている状態で能力向上されればどうなるか、想像するのは容易い程に絶望的である。


「それで、私達を呼んでどうするつもりなのかしら?」

「………は?」


 この化け物相手に勝てるとすれば、あのパーティーしかいないと判断し、何とかして今から探し出そうとしていたパーティーメンバーの一員である、美しい青髪を揺らしながらこちらに歩いて来る姿が見える。


 その光景に俺どころかラビンソン、更に魔獣まで呆けた面をしており同じく間抜けな声を上げているのが見える。


 いくら戦闘中、いや戦闘中だからこそお互いに極限まで集中しており場の状況は把握していたはずである。


 それは自分も同じでありこの場には自分とラビンソンさん、そして魔獣しかこの場には居なかったはずである。


 町側からやって来た気配すら無かった何処からともなく為いきなり、しかも我々の会話を聞いていたかのようなタイミングで現れた彼女に戦闘中という事も忘れ素で呆けてしまうのも仕方ない事だろう。


 しかし呆けていたのもほんの一瞬で、魔獣はすぐさま戦闘態勢に入り警戒しだし、ラビンソンさんはその一瞬の隙を突いて回復魔術を自身に施しているのが見える。


「え、あ……いや、その前にどうやってここまで来たんだ?」

「どうやってって、あなたは私達の事をこないだからずっとつけていたでしょう? だから私が操る極小の水玉をあなた達の周りに浮遊させ、それを通して監視していたんです。 そしたらば私達を探すとおっしゃったじゃない?だからこちらから出向いて差し上げたんですよ。 デモンズゲートでも良かったのですけどそれだとこの魔獣がデモンズゲートを使い一気に街中に侵入する事も考えられますから今回は転移魔法で来させてもらったんですの。 それで、私達を探しに行くおつもりだったみたいなのですが要件を今お聴きしても?」


 緊張感のカケラも感じ取れない声音で衝撃的な事実をの述べて行く彼女。


 まさか監視していた相手に逆に監視されているという何とも間抜けな結果なのだが、この時ばかりはその間抜けな結果に感謝してしまう。

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