第454話クロは裸である
「そ、そうか……なら、いきなりで申し訳無いが君達のパーティに個人依頼を出したい。 内容はあそこに佇んでいる化け物退治だ。 この依頼はギルドマスターである自分がその権限を使い正式に受理させて頂くつもりだ。 そして成功報酬は本来ならあり得ないのだがトリプルSランクパーティー相当の報酬額、もしくはそれ以上を約束しよう」
そしてギルドマスターであるラビンソンさんがこのチャンスを逃すまいと即座に彼女達パーティーにギルドマスターの権限を使い個人依頼を頼み込む。
「残念ですがその依頼を受ける事は出来ません」
「な、なんでなんだっ!?」
しかし、彼女から返って来た言葉は予想外で残酷なものであった。
彼女のその言葉にラビンソンは縋る様に彼女の元まで行き懇願する。
最早トリプルSとしての威厳もギルドマスターとしての尊厳も無く、ただただ弱者の様にすがる姿がそこにあった。
「既に我が主人であるクロ・フリート様に報告、連絡、相談致しましてこの犬っころの対処方法を承っておりますので」
そういう彼女はとても可憐な笑顔で答えるのであった。
◇◆◆◇
「く、苦しい……」
朝特有の澄み切った空気、淡く柔らかい暖かさを含む太陽の陽射し、そして活発に動き出す小鳥達の囀りを聴きながらクロは微睡みの中から緩やかに思考を覚醒させ始める。
そして最初に発した言葉はこの雰囲気には似合わない息苦しさを示す言葉である。
右に顔を向ければサラが、左に顔を向ければキンバリーがとても幸せそうに寝息を立てながらクロを離さまいとしがみついているのである。
そんな二人をクロは起こさない様に優しく頭を、恋人の様に撫でながらゆっくりと二人の拘束から抜け出して行く。
その際サラはクロが居なくなった消失感を感じとったのか「クロ…どこ言ったのですか?」と寝言を言いながら両腕をクロを探すかの様に動かし、キンバリーをクロと勘違いしたのか安心した表情をして抱き寄せ静かな寝息をまた立て始める。
ちなみ彼女達、そしてクロは裸である。
そんな二人を、ベッドから出て下着、そして肌着を羽織った後愛しくて愛でているとタイミングを見計らって居た様に扉がノックされる。
「はい、何でしょう?」
「おはよございます、クロ・フリート様。お着替えをお持ち致しましたので着替えさせて頂きたく思います」
「分かりました。入って下さい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます