第422話お慕い申しておりますっ!!
「ん………幸せ……ですっ……うぅっ……っ!」
「はいっ……はい……っ!」
「うぐぅ……幸せぇっ!」
セラが呟いた一言に全員が深く頷くと同時にセラ、ウィンディーネ、ルシファーの三名に至っては鼻水垂らしてわんわんと泣きだす始末である。
それを見た、セラ達の想いがどれ程深いものなのかを知っているミセル達も「良かったですね!」ともらい泣きし始め、そのせいでギルド内は野次馬が集まりだすも御構い無しに泣き続ける。
好き、愛してる、お慕いしてます、その様な言葉をいくら重ねても足りない程の、けれど決して届かないと思っていた想い人から大切な存在だと言われたのだ。
セラ達もあの言葉が愛の告白でない事は重々承知しているのだが、それでもセラ達にとってあの言葉はそれ程までに嬉しい言葉なのである。
「あのー………大丈夫ですか?何かあったのでしょうか?」
「わ、私達の主人様に……た、たいっ……た…大切な存在だって、掛け替えの無い存在だって……っ、うぅ……お慕い申しておりますっ!!」
そんな、人目もはばからず涙を流す彼女達にギルド職員が心配げに声をかける。
しかしそれに対応しようとするセラはまともに返事が出来ず言い切る前に泣きだしながら告白する始末である。
そんなセラに変わってミセルが涙をハンカチで拭きながらギルド職員に説明すると信じられないと驚愕する。
「こ、これ程の美しさを持っている上にAランクのパーティーを倒せる程の実力をお持ちの方が三名とも愛してるのサインを送り続けても靡かない男性って同性好き以外でいるんですかっ!?」
ミセルの説明を聞いたギルド職員の反応はごもっともで、ギルド内の男女職業問わず一斉に頷く。
これ程の美姫、しかも三名からの求愛をスルー出来る男性がいるとは想像もつかないのも仕方ない事であろう。
しかもその意中の男性の言葉は彼女達へ愛の告白では無く、たんに一人間として大切な仲間であるという内容の言葉だったと言う。
だというのにこれ程まで嬉し泣きする程彼女達に慕われている男性はさぞ良い男なのかもしれない。「なあお前達、その男は同性愛者か…それか騙されてんじゃねーのか?」
そして頭の悪そうな男が彼女達に話しかけた様にここに集まっている野次馬の大半がそう思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます