第414話その気持ちは痛い程分かる
その瞬間先ほどまで緋色亜竜と均衡していた―それだけでも信じされないのだが―戦況が一気に傾きたった二人であの緋色亜竜を圧倒し始めるという光景が目の前で起き始めた。
しかし相手にしているのはあの緋色亜竜、それもその亜種である。このまま終わって欲しいと思うのだがただで終わるとわ到底思えない。
そして最悪な事にその予感が的中、緋色亜竜の全身が赤色に輝きだすと二人が揃う瞬間を狙い見たこともないブレスを吐いたのである。
あのブレスの直撃を喰らったのだとすればいくら英雄じみた強さを持っていようと助からないだろう。
そして…あの至近距離から撃たれては回避する事すらできないであろう。
それを分らない俺の仲間ではないためメンバーの間に一気に緊張感が増していく。
『いやー……その程度のブレスが奥の手だったとは残念だったっすね。噂に聞く緋色亜竜、それも亜種だと期待したっすのに』
『まったくその通りだわー。肩透かしも良いとこだわ。ミセル単体でもたぶん余裕で討伐できたんじゃないの?』
『真剣になりなさい!どんな相手でも舐めてかかると死ぬのは冒険者の基本ですよ!』
『じゃあミセル先輩の言う通りトドメといきますか』
しかし俺や仲間の予想は外れブレスに焼かれたはずの二人は死ぬどころか擦り傷一つ見えないほど無傷で立っていた。
どうやら後ろにいた、討伐に向かわされた最後の一人が無詠唱で巨大なそれでいて美しい盾を召喚していたみたいで緋色亜竜のブレスをなんの苦も無く防いでみせていたみたいである。
それと同時に聞こえてくる彼女達の緊張感の欠片すら感じ取れない会話を聞き、もはや彼女達が同じ人間ではない別の種族だと言われてもなんの疑いもなく信じ切れる自信がある。
それほどまでに彼女達は常軌を遺脱した別次元の強さを俺たちの目の前で見せつけてくれたのである。
小さい頃夢見た、そして憧れた英雄譚に出てくるそれよりも強いのではないのかと。
そして緋色亜竜は黒い何かに縛られ、氷の華に閉じ込められ、緋色亜竜よりも大きな光る大剣に突き刺され絶命した。
最早我々とは次元が違い過ぎる戦闘に仲間達は一歩も動けないでいた。
その気持ちは痛い程分かる。
かく言う自分も動けないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます