第415話嘲笑われているような感覚
むしろあの様な戦闘を見せられて平気でいられる高ランクの冒険者を見てみたい程である。
我々が競い合い切磋琢磨し必死に登りようやく手に入れたSランクという称号やプライド、またもう少しで高みに登り切った者達に肩を並べられると、子供の頃から夢見た英雄も届くかもしれないと、そう言った様々な気持ちを全て否定するかの様な光景を目にして今まで目指してきた物は一体何だったのかととてつもない虚無感が俺を襲い始める。
今まで目指していた山の頂上は山ではなく子供が盛った土山であると、そう嘲笑われているような感覚である。
『時間内に倒せた事は及第点を上げても良いでしょう』
そんな中聞こえてくる件の三人娘達が所属するパーティーのリーダーであろう女性の声がスキルがご丁寧にも拾い耳に入ってくる。
しかしそこから聞こえる言葉は緋色亜竜をたった三人で倒した者に送る言葉だとは到底思えないような厳しい感想であった。
あれを及第点だと言ってのける彼女の無知さ加減に腹が立つのは致し方無いだろう。
彼女達が及第点と言うのなら俺達は一体何だというのか。子供のごっこ遊びとでも言うのかと。
そしてそんな俺の気持ちなど勿論知る由もなく、リーダーであろう女性は偉そうに指摘し始める。
『まずはミセル、十本刀を出す所までは良いのだけれど……十振りすべ、手にした剣二振り全て攻撃に回すのでは無く二振りほど残し突然起きる予測外からのイレギュラーを防げる様にしておきなさい。確かに合計十二振りもの刀ないし剣を使用する為攻撃か防御どちらか片方に意識した方が御し易いのは分かりますがそんなのはまだまだ己の力に振り回されているだけの未熟者です』
『次はレイチェルですね。仲間をブレスから防いだ事は褒めますが防ぎ方はマイナス点ね。あれじゃ防いだのは良いのだけれどその後の爆煙で敵の姿が一時的に隠れてしまっては逆に相手に影に隠れて私の脇腹を刺して下さいと言っている様な物です。更に相手がブレスを吐く動作から実際ブレスが到達するまで一秒以上かかっていました。それ程の時間があれば防ぐのでは無く目視でブレスを反射させるスキルを選びなさい』
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