第409話自慢の弟子達
「結局、このギルドもバカはいましたね」
「まあ良いんじゃ無いのミセル?馬鹿がいるからこそそいつらを利用すれば新顔でもかなり自由に動けるんだから」
「そうっすよー。でもさっきのセラさんの言葉を昔の自分を押さえつけてでも聞かせたい言葉っしたねー」
一応正式に私達の弟子という事になった彼女達の会話を聞きながらセラは表情に出さずに同意する。
この旅で分かった事の中に、ギルドに入り大口を叩いた上でナンパし、力を誇示しようとする者達がいるにも関わらず外野は遠巻きに火の粉が被らないよう見ている場合、そのもの達は少なからずこのギルドで顔が効くという事。
そしてもう一つはその者を完膚なきまでに倒すと新顔でもスムーズにギルドで依頼を受ける事が出来るようになる事である。
◇◆◆◇
「しかし、それにしても簡単に倒せたわね。最初セラ様から「せっかく依頼としてあるのですから」と修行の一環として緋色亜竜討伐を言われた時はどうなる事かと思ったほどです」
「確かになー……以前より確実に強くなっている実感はあるけど私達の攻撃が緋色亜竜の硬い鱗に阻まれてしまうのではという不安もあったしなー」
「てか私達がここまで強くなってるなんて想像以上だわー」
先程からミセル達が雑談している場所は討伐して横たわった緋色亜竜、その頭の隣である。
頭だけで私達よりも大きく、その額の先には緋色に輝く美しい半透明なツノが二本生えている。
そのツノだけでも私達よりも大きいのだから本体に至ってはまさに小さな山と言える程である。
緋色亜竜は亜竜種の中でも最上位に位置する討伐難易度を誇り個体によっては並みの竜種よりも強いとされている。
その為私達のような新参者がおいそれと手を出せる討伐依頼では無いのだが先日の一件によりギルド職員や他の冒険者達から特に何か言われる事もなく難なく討伐依頼受理され、そして今現在その討伐依頼も完了である。
最初こそ私がミセル達だけで討伐してみてはという言葉に彼女達は自信よりも不安の方が大きかった様に見受けられたのだが、今やその不安も消え去り確固たる自信が付いた事が見て取れる。
「お疲れ様です。危なげなく倒せましたね。さすが自慢の弟子達です」
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