第410話過去の懐かしい記憶
しかしながら彼女達は私達の教えを守り、粗は目立つも怪我もせずキッチリと討伐して来たので、それに対し労ってやると彼女達は声こそ出さないのだが嬉しさと誇らしさが混じった表情をしていた。
そんな彼女達を見ると過去の懐かしい記憶が蘇って来てこちらまで心地良い気持ちにさせてくれる。
本当に、実に良くできた娘達であり自慢の弟子だ。
そんな可愛い弟子達を襲いかからんと怒り満ちたオーラを撒き散らしながら襲いかかろうとして来た緋色のツノをした竜種を私とウィンディーネとルシファーで先程の彼女達の戦闘で思った事を指摘し、竜種相手に実際にやって見せながら彼女達よりもスムーズに討伐していくのであった。
◇◆◆◇
緋色亜竜が目撃され、ギルドで討伐依頼が出されて早一週間。
やっとの事で見つけた緋色亜竜は拠点にしている街から50キロと想像してた以上に近くでその異様に輝くツノとその巨躯を発見出来た。
「いくら何でもデカすぎる……」
「一旦ギルドに戻って討伐隊を編成するか?」
「でもこの機を逃したら次はいつ出会えるか……」
仲間に相談するも最早亜竜の基本的な討伐ランク超えているであろうその巨躯に、目の前の亜竜の対処方法が纏まらない。
ただ分かる事は俺たちパーティーには討伐どころか傷一つつけられる可能性も低いという事だけである。
勝てる見込みなど全く導き出せない程の差を嫌が応にもその巨躯をもって見せ付けられているみたいで自分同様に他の仲間も苦虫を噛み潰した様な顔をしていた。
「とりあえず倒すのは無理としてもマーキングだけでも……」
「………いや、辞めよう。無駄に命を捨てる行為になってしまう可能性がある時点でその案は却下だ。一度街に戻りギルドへ報告しよう。今考えうる最悪の事態は俺たちパーティーが全滅して何も情報が無いまま奴が街を襲うパターンだ。それだけは避けるべきだと俺は思う」
短く一度思索した後、俺は長年苦楽を共にして来た人一倍正義感の強くパーティーの盾職を担う男、ドゴツの提示した案を否定し街へ一度逃げ帰るべきだと話す。
結局答えは初めから出ているのだが、しかし皆ランクSパーティーというプライドが判断を鈍らせすごすごと逃げ帰るという選択を選ぶ事を渋っていたに過ぎないのであろう。
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