第407話へもヘチマもありません

「これで良いっすかね?」

「んー……ちょっと甘い。闇を怖がらないで……光も闇も同じ。闇があるから光も有る。そして光があるから闇もある。光も闇も使い方次第……貴女の心の持ち様」


 その漆黒の監獄を作り出したであろうベッテンが、ルシファーに魔術の出来を聞く。


 それにルシファーが師匠然とした態度で指摘すると無詠唱だろうベッテンが施した漆黒の監獄に手を加える。


 すると漆黒たど思っていた監獄は更に色を深め全ての光を吸収している様な錯覚さえ伺える。


 その監獄に閉じ込められた者達は高ランクパーティーである事を伺える冷静さを持って壊そうとするのだが、ベッテンが施した監獄はまだ物理的な攻撃を受け付けていたのだがルシファーが手直しした監獄はそれを受け付けず振るった武器は監獄の柱を素通りして行く。


 しかし、武器は通すも彼等自身は通り抜ける事が出来ずその異様さがさらに際立つ。


「全く、弱い癖に粋がるからこうなるのです……身の程を知りなさい。………一部始終を見ていたギルド職員はいませんか!?」


 そして私は未だ汚らしい男性に肩を触られた不満怒り怨み辛み妬み諸々をその言葉に宿して監獄の中に捉えた男性のパーティーメンバーであろう者達に向け放つといつの間にか出来上がった人集りと言う名の野次馬の中から事の経緯を知っているギルド職員を呼びつける。


 するとその人集りの中から一人、弾かれた様に反応し「はい!」と元気良く反応する女性が現れる。


「見ていたのでしたらお分りでしょうけど、この者達は強引に私達を勧誘しようとしつこく言いよって来ました。しかしその誘いを断った所武器により攻撃されましたので無力化いたしました。つきましてはこの者達から違約金が私に支払われるものと思うのですが?」

「た、確か違約金はこの場合金貨さ、三枚でしたね。しょ。少々お待ち……」

「金貨十八枚」

「………へ?」


 そして私達の前に出て来た少し小柄で眼鏡をかけているものの子犬の様な雰囲気のギルド職員へ私が契約違反なのでは?と問いかけると実際犯行現場に居合わせていた為違約した事は明確、金貨三枚と告げギルド奥に行こうとする所をウィンディーネが止める。


「へもヘチマもありません。その契約を彼等はわくし達六人に違反した事になるのでしょう? でしたらわたくし達は全員彼等を訴えるというのですよ?」


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