第406話水溜りのミジンコ

 無駄に顔が効く分この様に調子に乗ってしまう気持ちは分から無い事も無いが、そこを自制出来ないのなら権力を持ったただの餓鬼となんら変わらない。


 もしそれが許されるのなら私はきっとクロ様の婚約者達をすぐさま薙ぎ倒しに行くだろう。


「誰がその汚らしい手を私の肩に乗せて良いと言いましたか? この! 身体! 全て! ………髪の毛一本爪の先まで我が主人であるクロ様の物だと知りなさい」


 そして彼ら、六人で構成されたパーティーのリーダーであろう下卑た笑顔を浮かべた身体だけ大人の餓鬼が私の肩に手を乗せて来た為クロ様から頂いた光属性の剣をストレージから取り出すと居合の容量で鞘から出しその勢いを利用し柄で男性の鳩尾を穿つ。


「全く、貴方如き雑魚が私の師匠であるセラ様を物に出来るわけないでしょうに…… 」


 次いでミセルが空中に光で出来た剣を六本召喚し、その全てを男性の鎧めがけ突き刺して行く。


 彼が着込んでいる鎧が何で出来た物か分からないのだが私が教えた魔術を防げる程の物には到底見えない。


 そして目障りだとばかりに鳩尾に食らった一撃の痛みで転げまわる男性を床に縫い付けられ転げまわる事も出来なくなる。


「貴様らさぁ……自分達が何をやったか分かってるんだろう……ガボガボッ!?」

「黙りなさい。自分達こそ誰に喧嘩を売ろうとしているのか分かっているのでしょうね?」


 そんな中私達の実力差すら測れないにも関わらず未だこの状況を見ても高圧的な態度で因縁を付けようとして来る新たな男性がその言葉を言い終える前にウィンディーネがその煩わしい口を水で覆い塞ぐ。


「はーぁ……全然だめ。こう言うのを井の中の蛙大海を知らずって言うんでしたよねウィンディーネ様?」

「井の中の蛙に失礼ですわよレイチェル。水溜りのミジンコです」


 しかし彼らとて無駄に場数をこなしているのかウィンディーネにより口を水で覆い塞がれても冷静に隠しナイフ数本をウィンディーネにめがけて投擲するあたり雑魚の上に立てるだけの雑魚であるであろう。


 と言っても植物プランクトンか動物プランクトンかの違いしかないのだが、その一撃はレイチェルが空中に出した水球により阻まれ水球と共に空中に浮いている。そして次に音も無く現れるは漆黒の闇で出来た監獄。


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